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WISぽい 2

「まあ、とにかくだ。
 酒場であんなに派手に恥かいたんだ。
 キッチリと話を聞かせて貰おうか?」

 何とか「小治癒」一発掛けられるようになって、ひとここち付いた頃に俺はそう切り出した。

「……判りました。
 でも、私が話せる事はそんなに多く有りません」
「どういうこった?」

 今更それは無いぞとブレイのおっさん。

「突然の事だったんです。
 あの時、地下7階を歩いていたら突然足元が崩れて、気がついたら辺りは真っ暗で」
「おいおい、シュートトラップでダークゾーンに落ちたって?
 まさか、そこでドラゴンが出て来たりとかって話じゃないだろうな?」

 何か聞いたことがあるような話に俺とおっさんが顔を見合わせ、ついでカナタに詰め寄ると二人して問い詰めた。

「っ!?」
「マジかよ……あ、すまん。 続けてくれ」
「いえ、後は皆バラバラに弾き飛ばされて、どうなったか判らないままに恐ろしい唸り声と近くに居た姉の声が聞こえて。
 姉が私に近づくと「あなたは生きなさいと……」
 そのまま転移させられて、気が付いたら迷宮の入り口で気を失っていました。
 皆がどうなったかは判りません。
 でも、ギルドから話を聞いたいくつかのパーティーが地下7階を探してくましたが」
「何も見つからず……か」
「はい。 結局、私は皆を見捨てて逃げたと……大して違いは有りませんが。
 でも、私は嘘は言っていません!!
 お願いです!! 私をこのパーティから外さないでください。
 私はどうしても地下7階へもう一度行かなければならないんです。
 お願いします。 他に私を受け入れてくれる所は……」
「まあ、無いんだろううなあ。
 しかし、よくも俺らみたいなのにしてもギルドが繋ぎをつけたなぁ。
 普通なら受け継ぎもしないと思うんだが」
「あ、はい。
 
by katuragi_k | 2008-08-17 22:11 | SSもどき

最近の物のメニュー

WIZもどき? たたき台 

 名前入れて、話し細かく
 A/B/C




覚え 中二病 A/B/C

これになんか感想頂いた件「わしもそう思う」ナノハ世界の設定考えてるときの沸いた話で、BCで、なのは分を抜いた頭出しになってます。 そして続かない。


――ミッシングウォー(リハビリ、ブレイクエイジパクリ+ネタ)

1、A / B / C / 



――幻想入りテスト

 1、刷り込み 0話 


A とか言ってて一段落してるな……あと、YUKINOVELのタグそのまんまコピーとかしてるんで、間の開き方がおかしいです。
 そのうち直す。

 2、0.1話  B

B ロック中


 10、 1話 A /

 これは叩き台で書いたやつそのままなので、ニコ動に上げたやつとは大分違います。
 大体、文章飛んでたりですし。
 もし見れるなら、"”316人目の幻想入り"で探して見てやってください。

 11、 2話 A B C

 なんか、音やら絵を使うなら描写は減らすべきと言われたので、大雑把に書いていってみる事にする。
by katuragi_k | 2008-08-17 00:54 | SSもどき

WIZぽい 名前入れて改定中 1

―――光だ。

 そう誰かの呟きを聞いた。
 もしかすると俺自身の呟きだったのか。
 だが、どうでも良い事だ。
 その時は、みな同じ事を考えていたろうさ。
 しかし、何でこんな目に……神さんよ、俺がなんかしたか?


---WIZぽい(ソードスピリット)


「おいザックよ!!
 どうして俺らはこんな儲けも無しにボロボロになってるんだ?
 ええ!!」

 俺達がへたり込みそうになる体を引きずって、馴染みの酒場で部屋を借りて、崩れ落ちるように一息ついてしばらく、呪い師のブレイが激昂した。

「俺に当たるなよ、今回は俺らの判断ミスもデカイ原因だってのはおっさんも判ってんだろ。
 カナタの実力を読み違えたのを棚に上げたり、最近上手く行ってたからって油断してた自分らを認めないって事は、次に死ぬ羽目に繋がるって事だぜ。
 儲けが少ない位で済んで良かったじゃねえか」
「ちっ」

 ブレイのおっさんは納得いかないようだったが、元よりそんなに怒りが持続するタイプじゃない、吐き出すだけ吐き出して一応は落ち着いたようだ。
 厳つい見かけと違い、普段は感情を表に出すことは少ないのだが、今回のことは余程に堪えたのだろう。
 そんな俺達二人のやり取りを見て、じっと部屋の隅に蹲っていたもう一人のメンバーが、座り込んだまま両の手と額を音が出るほどの勢いで床にこすり付けた。

「おい、イキナリどうした」
「すみません」
「そんなもん流行らねえ、頭上げろ」
「すみません」

 まだ、顔に付いた汚れを落としてもいない刀使いの女、カナタがブレイと俺に向かって頭を下げ続ける。
 気分悪げにブレイが顔を上げるように促すが、カナタは「すみません」と繰り返す。
 俺は拙いと思ったが、仲裁間に合わず、いったん落ち着いたブレイの怒りがぶり返した。

「すみませんじゃねーや。
 俺らは器用貧乏の掃除屋だがな、それでも五階に届きもせずに引き返すなんてこたなかったんだ。
 お前さんがあんなふうにトチ狂った理由、きっちり聞かせてもらおうか!!」

 カナタはびくりと身を震わせるが、顔を伏せたままか細い声で「すみません」と繰り返した。
 ブレイは「話にならねぇ」とはき捨て、部屋の寝床に転がった。
 俺は頭を掻き毟ると、似合わないとは思いつつ、顔をぐしゃぐしゃに涙で濡らしながら未だ「すみません」と呟く刀使いの女に歩み寄り、一瞬躊躇いつつも手を伸ばして肩をつかみ、静かに引き起こした。

「なあ、あんまり気にするなとは言えんが、とりあえず汗を流してくるといい。
 そんな格好のままじゃ、気も滅入るってもんだろう?
 俺らはここの下で飯でも食ってるから」

 俺はテーブルにある濡らした手拭を手に取ると、汚れて血の気は失せているものの、端正な美貌に少し怯えた子供のような表情を浮かべたカナタの顔を拭って部屋から送り出した。
 しょぼんと項垂れたまま部屋から出て行ったカナタを見送ると、一つため息をついて備えつけの椅子に座った。

「おい、期待の新戦力がガッカリだったのは判るがな。
 あんまり当たってやるなよ。
 まだガキじゃねえか」

 俺は不貞寝している呪い師に向かって、温んだワインの入った水袋を投げ渡した。

「そうは言うがな……」

 こちらを見ずに水袋を受け取ったブレイのおっさんは、自分でも思うところがあるのかばつの悪そうな顔をして、温くて不味くなったワインをあおった。

「さ、機嫌直して飯でも食いにいこうや。 今日は家に嫁さん居ないんだろ」
「ああ、実家に帰ってるよ。 師匠の調子が悪いとかでな」

 おっさんは既婚者だ。
 因みに嫁さんの実家は学者の家で、おっさんは弟子入りした師匠の娘を嫁に貰ったという話だが、あの尻に敷かれっぷりは師匠云々と言う部分もあるんだろう。

「じゃあ、遠慮なく飲めるって訳だな」
「まあ、そうだな」

 俺達は階下の酒場へと繰り出した。
 酒場は、夜の時間になって大盛況だった。
 俺は隅のテーブル席に座って、忙しそうにしているマスターに毎度のごとくの注文をした。

「マスター、なんか適当に飯と酒」

 下げ物のついでにこちらへやってきたマスターがこちらを見てにやりと笑った。

「さっきは死にそうな顔をしてたが、意外と大丈夫そうだな」
「うるさいよ。 そんな簡単に死んでたまるか」

 マスターは一旦裏手に下がると、酒瓶とジョッキを持って戻ってきた。

「まあ、無事でよかったが。 あんな様子は久々だったな」
「ああ、ここまで酷い目にあったのは久しぶりだな」

 ブレイのおっさんがボソリと零した。

「俺と組んでからは八階に罠で落っこちた時以来か?」
「だな」

 俺ことザック=バランと呪い師のおっさんブレイ=コーは、かれこれもう三年程組んで迷宮に潜っている。
 俺は性根のチキンさ加減のせいで、ギリギリの綱渡りをしながら先へ先へと急ぐのが気に食わず、組んでいたパーティの連中がどう考えても実力不足だと思えるのに、先に進む事を決めたのを機に外れてフリーになっていた。
 おっさんは師匠の研究で入用になった品物を迷宮で手に入れようとしたが、人を雇う金がなく自分で潜る羽目になっていた。
 話を聞いた酒場のマスターが俺とおっさんを引き合わせたのは、天の配剤と言うやつだったのかもしれない。
 俺は力を得る為におっさんに魔術やら知識を習いつつ、おっさんには迷宮での歩き方やら死なないコツを教え、おっさんの探し物や調べ物に付き合いつつ、無理のない場所でじっくりと経験を積んだ。
 ぶっちゃけると相当余分な回り道をしているのだが、他にメンバーを入れるつりもなかったので、まあ必要だったのだろうと思う。
 結局、何かの依頼でもなければ二人だけで潜り続け、この三年でパーティーとしては古参で実力は中の上と言う位置にいる……二人パーティーなんていうのは俺達だけだが。
 そんな、昔の話をしながらちびちび飲んでいると、酒場の入り口で騒ぎがおきた。

「よう、仲間を見捨てたお嬢さんがこんな所で何をしてるんですかー?
 一緒に潜ってくれるお人好しは見つかったんですかー?
 なんだったら、優しい俺達が付き合ってやってもいいんだぜー。
 ついでにいい事しようぜー」

 癇にさわる調子っぱずれの間延びした声で、酔っ払いが誰かに絡んでいた。
 見ると四-五人の集まり、見たことのある顔が二つほど……たしか最近流れてきた連中で、そこそこ名の売れだした奴らだったか? 顔を合わした事は無かったが、あまり行儀のいい連中ではなかったらしい。
 何時もなら余程の事がない限り、ギルドの憲兵辺りに任せてしまうのだが……。

「あの馬鹿、何してやがる」

 おっさんのボヤキ通り、絡まれてるのは見知った顔だった。
 風呂上りか上気した顔が色っぽくなってるせいで、虐めてオーラが倍化されてるようだった。
 仕方なしに立ち上がり、俺は酔っ払いに、とっ捕まっているカナタに近づいていった。
 連中はこちらに気がついたようで、俺に目を向けてきた。
 カナタは俺を見てうれしそうな顔をしたが、迷惑を掛けたと思ったのか一転して沈んだ表情になった。

「なあ、兄ちゃん達よ。
 その子は俺の知り合いなんでな、放してやっちゃくれないか?」

 俺は友好的に連中に話しかけると、カナタにこっちにおいでと促した。
 連中は俺のお願いに一瞬あっけにとられたように顔を見合わせ、次の瞬間大笑いし始めた。 その不意をついてカナタは俺の方へやってきたが、連中はそれを気にする事もなくしばらく笑い続けていた。

「あの、すいません」

 相変わらず、謝ってばっかりだったが、美人に頼られ縋り付かれるというのは悪い気分ではなかった。 それにこう、腰を抱いてると妙にしっくりくるというか、収まりがいいというか……なんだかよくわからない感じがした。 いつも腰に下げてる得物を持ってないのに不安を感じないというか……気が大きくなってるのか?
 いや、それはともかく、さっきの連中の言葉に確認しておかないといけない事がある。

「なあ、連中の仲間を見捨てたとかって話は本当か?」

 俺の言葉にカナタが一段小さくなる。 俺の上着を握り締めた拳が真っ白になるほどに力が入っている。 俺は少し待ったが、結局カナタからは「すみません」という言葉しか帰ってこなかった。 俺は仕方なく、相変わらずニヤニヤしている連中に視線を向けた。
 連中は俺が水を向けるまでも無く、あちらから知りたい事を教えてくれた。

「先週、俺たちとどちらが先に地下八階へ辿り着くかっていう、最近じゃソコソコ名の売れたパーティが全滅したんだよ。 そのお嬢さん一人残してな」

 おいおい、ギルドの紹介の話ではそんなこと一切出てこなかったぞ。

「それも、死にかけを拾われたってんなら話も判るがよ、よりによってその嬢ちゃん仲間放り出して飛翔の護符使って逃げ出したってんだからな。
 そんなの引き取るなんて、あんたどんだけ人が良いんだよ」

 連中はさらに大爆笑。
 流石に俺も言葉が無かった。
 パーティって奴を組むとなると、他人同士で命を預けあう事になる。
 ゆえにそれなり以上の信頼関係ってものが無ければやっていけない。
 そんなわけで、迷宮に潜る連中が俺も含めて守らなければいけない暗黙の了解というものが存在する。
 それを守れないということは、信用されないということで、誰かと組むということが出来なくなる。
 だから、どんな奴でも最低限の事は守るのだ。
 大雑把に言うと二つ。
 ・仲間を見捨てない。
 ・迷宮で救いを求められたら出来る限り、力を貸す。
 出来る範囲というのが曲者だが、いつか自分がという時の為に、どんなやくざな奴でも気にする大原則だ。
 それをこのカナタが破ったというのなら、確かに俺とおっさんは知らずとはいえ、問題のある存在を、ギルドの言うままにパーティに加えたお人よしということになる。
 それで、今日みたいな目にあってるとなれば、笑いも出てこない。

「おい、今の話は本当か?」
「……」

 カナタの言葉は無い。

「おいおい、本当に知らずに引っ張り込んでたのか?」

 連中の笑いがやんだ。

「幾らなんでも気の毒すぎるぜ」

 連中の呆れたような、哀れみを感じさせる声にカナタが激発した。
 俺を突き飛ばすようにして離れると、握り締めた拳を振り上げ、連中に向かって叫びながら向かっていった。
 しかし、同じ前衛職で同レベルの相手にそんな状態で向かっていってどうなるものでもなく、連中のうちの一人がニヤリと笑ってカナタを迎え撃った。
 カナタの振り上げた拳を軽くすかし、そのまま足先を引っ掛けて突き飛ばす。
 倒れながら、地に手をついて即座に起き上がり、また向かっていく。
 その時の叫びは「私だってあそこで死ぬつもりで居た」そう言っているように聞こえた。
 そして、その怒り、殺気に反応したのか、遊び半分で居た連中の中から、リーダー格だろう男が一歩前に出、カナタとケリをつけるべく正対し、腰を落とした。

「ありゃ、少々出来が違うな」

 いつの間にかブレイのおっさんが俺の背後に立って、カナタと男を眺めていた。

「判ってんなら、止めろよな」
「おいおい、おりゃもう体ガタガタなんだよ」

 首をポキポキ鳴らすおっさんにムカついたが、しょうがない。
 カナタが一歩踏み出す。
 男が拳を引く。
 俺は手持ちの魔術からたまたま使いそびれた「革肌」「閃き」「瞬き転移」を準備後即起動して、カナタと男の間に割り込んだ。






「イテェ」

 俺は酒場の二階で呻いていた。

「すみません、すみません」

 カナタが濡れた布巾を絞りながら、俺の紫色に変わった顔面をなでる。

「いい顔になったなあ」

 ブレイのおっさんが笑いながら、俺の顔を魚に酒を飲んでいる。
 さっきの喧嘩、割り込んで両者の拳を受け止めることには成功した……顔で。
 無駄にクリーンヒットした二人の拳が俺の意識を断ち切る寸前、両者の顔を一瞥し、男には「色々聞かせてもらったが、後はこちらの話だ。 スマンが引いてくれ」と、カナタには「キッチリ聞かせて貰うからな」とカッコ付けた所で記憶が途切れている。

「なあ、「気休めの治癒」でもいいから無いのかよ」
「無いな。 大体玉数はお前の方が多いだろう。 俺に神術のストックは期待するな」
「俺の気力はさっきので尽きた」
「なら諦めろ」

 うぐう。

「あの「小治癒」のポーションなら」
「「勿体無いわ!!」」

 カナタが荷物から引っ張り出した薬ビンに俺たち二人で突っ込んだ。
by katuragi_k | 2008-08-15 07:34 | SSもどき

とりあえずイメージ(WIZぽい)名前とかなしで たたき台

―――光だ。

 そう誰かの呟きを聞いた。
 もしかすると俺自身の呟きだったのかもしれない。
 だがどうでも良い事だ。
 その時は、みな同じ事を考えていたはずだから。
 しかし、何でこんな目に……神様、俺がなんかしましたか?


「だーーー!!
 何でこんな浅い階で全滅の憂き目にあってるんだよ!!」

 酒場で部屋を借りて一息つくと呪い師の奴が激昂した。

「ごめんなさい!!」

 まだ、顔に付いた汚れを落としてもいない刀使いの女が呪い師に向かって頭を下げていた。

「ごめんじゃねーよ。
 俺らは器用貧乏の稼ぎ屋だがな、それでも五階に届きもせずに、
 引き返す羽目になるとは思わなかったぜ!!」

 稼ぎが出るどころじゃねーよと呪い師の奴がはき捨て部屋の寝床に転がった。
 俺は頭を掻き毟ると、似合わないとは思いつつ、刀使いの女に声を掛けた。

「なあ、あんた。
 あんまり気にするなとは言えんが、とりあえず汗を流してくるといい。
 そんな格好のままじゃ、気も滅入るってもんだろう?」

 俺はテーブルにある濡らした手拭を手に取ると、女の顔を拭って部屋から送り出した。
 しょぼんと項垂れたまま部屋から出て行った娘を見送ると一つため息をついて備えつけの椅子に座った。

「おい、期待の新戦力がガッカリだったのは判るがな。
 あんまり当たってやるなよ。
 まだガキじゃねえか」

 俺は不貞寝している呪い師の奴に、温んだワインの入った水袋を投げ渡した。

「そうは言うがな……」

 こちらを見ずに水袋を受け取った呪い師の奴は、自分でも思うところがあるのかばつの悪そうな顔をして、温くて不味くなったワインをあおった。
 俺とこの呪い師の奴はかれこれ三年程組んでいる。
 有り余る才能やら熱意。
 名誉への渇望やら成り上がる執念。
 そんな言葉と縁遠い俺たちは俗に「稼ぎ屋」または「漁り屋」といわれている。
 比較的安全とされている迷宮上層部はすでに探索されつくしているが、化けもん連中はどこからともなく沸いてくる。
 そういう奴らを相手にちまちまと稼いでいるのが俺たち「稼ぎ屋」で、迷宮の先へ進み、一攫千金を夢見る連中からは腰抜けと白い目を向けられている。
 だがまあ、そういう連中は大半が一年と持たずに消えていく。
 選りすぐりの極一部だけが、いくつもの試練を乗り越え伝説に名を連ねるような偉業と力を兼ね備えていく。
 しかし、そんな連中でもちょっとした不運で消えていくのが、この迷宮の恐ろしい所だ。
 大体にして、この十年近くで新しく記された地図は地下13階の入り口からの数ブロック。
 今までに記されている一フロアの大きさから見て、その広さは絶望的なまでに僅かでしかない。
 その上、今の所の最深部とされている地下13階に到達できるパーティは僅かに3隊。
 そのうちの二隊は王室の近衛に召抱えられてしまって、迷宮に潜る事は稀になっている。
 だがまあ迷宮に魔王が潜んでいるとか、突破しないと世界が滅ぶなんて事はない。
 単にここに迷宮があって、二百年ほど前に地震で入り口が現れてから、湧いて来る化け物を退治するための砦が出来て、化け物連中が金を持っていたり、有用なアイテムや資源になったりする事が判って、その富を目当てに一山当てようとする連中が集まっているうちに村になり、色々と人が集まってくるうちに町になり、王国の一領となったのだ。
 今では出稼ぎやら、腕試し、仕官の為の登竜門として開放されている。
 俺と呪い師の奴は出稼ぎ組だった(俺は口減らし)。
 俺は性根のチキンさ加減のせいで評価が伸びず、組んでいたパーティの連中が先に進むのを機に外れてフリーになった。
 そいつらはその直後に新メンバーを加えて先に進んだが、全滅したらしい。
 死体も見つからず復活できる面子もいなかったようだ。
 そんな事もあって、俺も一度は貯めた金で土地でも買って引退も考えた。
 しかし、結局他に稼ぐ能もない為にずるずると迷宮漁りを続けていた。
 あちこちのパーティに参加しては外れの繰り返しで数年たったあと、ギルドの紹介で呪い師の奴と出会った。
 奴も似たような経緯でフリーになっていた。
 俺も奴も根っからのチキンというか石橋を叩きまくっても不安があると渡らない性格のせいで、評価はぽっと出の駆け出しと変わらないレベルだったが、貯めに貯めた器用貧乏というしかないスキルの量はちょっとしたもんだった。
 まあどんな奴でも地下3階まで一人で行ってウロウロするのは、余程の暇な高ランクか頭のネジが飛んだ奴のする行為だったが、俺と奴はそれを普通に行っていた。
 普通は飯代、薬代、武器鎧の修繕、魔法や前衛が必要ならそいつらを雇う金、その他もろもろのコストを考えれば、仲間を集めてコストを抑えてもっと先へ進まないと割に合わない。
 だが、俺達は駆け出し剣士並みの戦闘力と弾数だけは多い魔術神術、そこそこ以上の盗賊の技術を持っていた。(不安を感じて覚えられるものを覚えていたらそうなったのだ)
 だから全部自前で潜る事が出来たし、不安があれば自分だけの判断でさっさと帰ることも出来たから気は楽だったな。
 一応、ギルドの紹介は申請していたが、剣士、神術師、呪い師、盗賊と大雑把なくくりの全部に登録していた上にそれぞれ単体の評価は低い、そのくせ取り分はボッタ金額にしていたからひらいに来るパーティーは居なかった。
 だから、呪い師の奴が会いに来た時は何の間違いかと思ったもんだった。
 それから三年、奴とのコンビを組んでの探索は思った以上の成果をもたらした。
 単純に火力が倍になっただけではない。
 以前は傷を負えば逃げてから治療をしていたが、戦闘中に神術が飛んでくる。
 傷が治れば前衛を交代して魔術を撃ったりも出来る。
 パーティ組んでるやつらからすれば当たり前のことだったが、そんな事は数年ぶりのことで忘れていた。
 それも弾数は並みの連中の二倍から三倍、壺を押さえたように実用どの高いものばかり覚えている。
 そして微妙にスキルの分野が違うために、俺はアイテムの鑑定能力と範囲系の魔術を、奴は中程度の盗賊の技能と防御系神術を得ることが出来た。
 これらの事があって、更にコストが減り、迷宮に潜る時間も増えたことで俺達のレベルもこれまでとは違う速度で上がっていった。
 それでも特化して覚えることもなく、相変わらず色々と手を出して居るので専門職の連中よりは遅かったが、たった二人で地下8階まで行く事があるといえば、どれだけの人間が信じるだろう。
 まあ、人に言えないような戦い方をしているので、卑怯者だとか言われて騎士連中や神術使いには嫌われて居るが……。(それでも神術が使えるということは行いを認めてくれている神が居るということなんだがな。 因みに俺の信じてる神は中立の職人の神、呪い師の奴は旅と見聞の神だとか)
 そんなこんなで装備は一流半、実力は二流、胡散臭さは超一流という評判が板に付いた今日この頃だった。
 装備が一流半というのはいろいろと制約があるからで、掛かった金は一流以上だが、見た目に俺がいきがって長剣下げてる盗賊。 呪い師の奴が、何か勘違いして刀提げてる司教っぽい格好にしかみえない。 ざっと言うとレザーキャップ(祝福つき)、ミスリルチェイン(祝福+火炎耐性)、レザーグローブ(加護つき)、スモールシールド(祝福つき)、チェイングリーブ(静音、軽量化、祝福つき)、ハードブーツ(ミスリル補強つき、軽量化)、ロングソード(軽量化、魔術付加)、手を掛けられるものは掛け捲りになっている。 ぶっちゃけこれだけやっても、並みの戦士装備のフル装備くらいなもんだが、不意打ちやら魔術神術に影響ないようにするといろいろ難しいのだ。 因みに呪い師の奴は、ミスリルチェインが軽量化と加護つけたブレストプレートになり、グリーブがミスリルになって、盾を持たない。(このあたりはバランスと趣味だ)

 そんな俺達だが新しいメンバーを入れることは稀だったが皆無ではなかった。
 主にギルドからの押し付けに近い依頼の為だったりするが。
 例えば、迷宮の調査に付き合わされたり、死体探し+回収やらの護衛だったり、頭でっかちのエリート様に迷宮のいろはを叩き込むとかするわけだ。
 だからギルドの紹介状を持った刀使いの娘が俺たちに会いに来たときも何かの依頼かと思ったのだが……まさか俺達の求人に応じようとする奴が居るとは。
 求人の条件はそう厳しいものではないと思うが、何がしかの道を究めようとする連中にはとっては結構酷い物だと思うし、なんせ俺達の評判は余り褒められたものじゃない。(育つまで待ってやるが器用貧乏になって貰うぞ、うちの流儀で背後から気配消して範囲呪文ぶっ放すのは基本だぞ、化け物相手に遠慮して飯が食えるかというようなもの)
 そんな求人に乗ってくる奴はこの三年で一人も居なかった。
 求人の更新もしてなかったから、俺達もすっかり忘れていた。
 そこに現れたのが、結構な装備を持った刀使い。
 騎士連中と違って、攻めよりの技能を持った刀使いはこの地方では余り見ない。
 居るとすれば東の方の国からやって来る連中か、この土地に住み着いた連中から技を継いだ連中ということになる。
 そんな連中なら、他にも引く手はあるだろうにわざわざうちにやって来るとは、何かあると考えるのが正解だったのだが……。
 わざわざ俺たちを選んだ事へのちょっとした嬉しさと、刀使いへの幻想と装備の良さ、それに若い娘だったこと(しかも美人だ)、それに自分達の堅実さに自惚れが入っていた事で刀使いの女の能力を見誤ってしまったらしい。
 それでも最初は軽く流そうとしていたが、意外とよく動くのを見ていったん戻り、少し本格的に潜る事にしたのが間違いだった。
 思えば、よく動いていたというよりもテンパッて突っ込んでいたのが、なまじ装備が良いせいで、上手くいっているように見えてしまっていたのだった。
 それが決定的に拙い事になったのは地下四階で、珍しくワームに出会ったときだった。

「ん?」

 俺は先の犬頭の連中を片付けた後始末と戦利品の仕分けをしている時に、でかい物を引きずるようなあまり聞きたくない音を聞いた。
 音の主は恐らくワームかヒドラ。
 こんな浅い階層に出るのは珍しかったが、まあない事もない。
 こいつらは固い上に再生持ちで倒すのに時間がかかり、稼ぎにもあまり貢献しない。
 しかもこいつらを相手しているうちによその奴が寄って来たりすると最悪なので、基本的にやり過ごすのが俺達の流儀だった。

「おい、気づいたか?」

 呪い師の奴も気づいたのか、俺に向かってどうする? と視線を向けてきた。
 俺達だけなら気配を消してやり過ごせるが、刀使いの女にそれをやれるかと言うのは少々酷だ。
 だからさっさと此処を立ち去って、回り道をして避けることにした。

「すまんが休憩は終わりだ、ちょっと拙い奴が近くに居る。
 相手をしたくないんで、移動する」

 俺の言葉に「は、はい」と答えて刀使いの女は立ち上がった。
 俺たちは道を少し戻り、遠回りになるルートを辿り直していった。
 そして、壁の向こうで引きずる音が離れて行ったのを確認すると、地下五階へむかう階段へと足を向けた。
 そして、階段への最後の角を曲がろうとして、妙な息遣いに気づいた。
 俺が先行してそっと覗くと、そこには頭を抱えたくなる光景。

「今日は厄日か?」

 呟く俺に続いて呪い師の奴も頭を出して覗き、掌で顔を覆った。
 其処にはワームが寝ていた。
 気配が薄いせいで気付くのが遅れたのは痛かった。
 上手くすれば脇を通り抜けるのは難しくないだろうが、今は不安要素が居る。
 下手うってワームに前後を挟まれたいとは思わない。

「どうする?」
「進むか退くかってなら、帰るべきだろうな」

 俺は呪い師と顔を見合わせ、ついで刀使いの女を見た。
 キョトンとする女に、とりあえず寝てるワームを見せようとしたのだが、それが間違いだった。
 まず異変に気付いたのは俺だった。
 女の顔が蒼白になっていて、息遣いが浅く早くなっていた。
 刀を握る手には異様な力が籠められていてカタカタと震えていた。
 俺がいやな予感に女の肩へ手を伸ばそうとした時、呪い師の奴が真剣な顔でこちらに合図を送ってきた。
 何かと振り向くと、じっと何かに集中している呪い師の顔。
 どうやら遠視の魔術で視線を飛ばしているようだった。

「どうした?」
「拙いぞ。
 ちょっと気になって視たんだが……。
 どうやら、さっきやり過ごした奴が引き返してきたらしい。
 このままだと挟まれ「うわぁああああああああああ」なっ!?」

 突然の絶叫に俺も集中を途切れさせられた呪い師の奴も事態の把握が遅れた。
 我に返ると刀使いの女が寝ているワームに突撃しているところだった。
 流石にワームも身じろぎして目を覚ましたようだった。

「な、何してやがる!!」

 呪い師の声が動転しているのも仕方がない。
 俺に出来るのはとりあえず三人の防御を固める神術を唱えて覚悟を固めることだけだった。
 呪い師は三人の武器に魔力を付加すると得物を手にした。
 その顔にも焦りと覚悟が浮かんでいた。


 結果、やはりワーム二体に挟まれ、魔術神術使い果たすまであと少しのところで何とか片付けることが出来た。
 しかし、その後自失状態に陥った刀使いを担いで地上へ向かう道のりは地獄だった。
 血の匂いに引かれた化け物どもがワンサカ寄って来るのを掻き分けるようにして強引に突破した。
 何とか地上の光を見たときには体中の力が抜けて、しばらくの間は身動きが取れなかったほどだった。






「あの」

 刀使いの女が部屋の入り口からそっと顔を出してこちらを伺っていた。
 どうやら汚れを落として帰ってきたらしい。
 少しは落ち着いたのか血の気は戻っている。
 オドオドと部屋に入ってくると俺たちに向かって再び頭を下げた。
 そして、ポツポツト話し出した。

「私、ついこの間まで姉の参加していたパーティに居ました」
「姉さん?」
「それじゃあ、何でまた俺らみたいな……まてよ?
 この間、有望視されてた若手のパーティが一人残してやられたんだったか」

 呪い師の奴の言葉に刀使いの女は頷いた。

「私たちのパーティは地下七階でワイバーンとポイズンワームに挟まれたんです。
 たまたま通りかかった別パーティのおかげで注意がそれた隙に飛翔の護符で逃げる事が出来ましたが……私は姉の遺体だけしか」

「連れ帰る事ができなかったってことか……」

 確かにそれなら他のパーティに入ることは難しい。
 どんな事情があってもパーティを組んだもの同士で守るべき仁義ってもんがある。
 それを破ってしまうと、ほとぼりが冷めるまではどこのパーティでも敬遠される。
 仲間を見捨てて逃走ってのは結構なもんで、俺たちでもやったことは無い。
 パーティーとして動く為の最低限度の原則だからだが……。

「ってーことは、ギルドの紹介の野郎!!
 美人に絆されて断りきれずにこっちに振ってきやがったのか!!」
「なんてこった」

 エキサイトする呪い師と力の抜けた俺だった。

「で、その姉さんってのは?」
「私達にも幾らかの蓄えはあったので、寺院に掛け合って復活の儀式はやって頂いたのですが……駄目でした」
「それは気の毒にとしか」

 寺院での蘇生は余程の事がない限りは失敗しないが、万が一失敗すると次の蘇生に成功の目はなくなる。
 そうなると、一番確かなのは復活の護符を使うことだが、これは蘇生の儀式が数万程度の金が必要なのに対し、捨て値で百五十万で売れる代物な上、伝説級のエリートさん達を蘇生させる為に国が買い上げているので、手に入れる方法はまず自分で見つけるしかない。
 今までに見つかった場所で一番浅い所でも地下八階。
 パーティに入る事が出来ないこの娘にとっては、俺たちしか選択肢が無かったって所か。

「で、お前さんはワームを見て挟まれるとか聞いてトチ狂ったわけだが。
 少なくとも、今回の事はギルドに報告する。
 重大な事を伝えなかった斡旋所の野郎には何かしらの代償は支払って貰うとして、
 お前さんはどうしたもんかな」

 ため息つきつつ顎をさする呪い師の奴が、刀使いの女に困り顔でもう一つため息。

「弱いのは鍛えりゃ良いけど、
 いつ弾けるか判らないトラップみたいなもん抱えるのはなぁ……」

 俺も頭を抱えた。
 ぶっちゃけ、二人でやってる方が稼ぎもいいし安全だ。
 大体、護符が見つかったとして、俺たちの取り分の百万とかどうするつもりなんだか。
 俺達が二人とも言葉無く黙り込んでしまうと、刀使いの女は何か意を決したような表情で立ち上がると、やにわに上着を脱いで肌をさらし「わ、私を好きにしてくれて構いません。 ですから」とか言い始めた。

「勘弁してくれ、そんな事したら女房に殺される。
 ただでさえ評判が悪くて肩身が狭いとか愚痴られてるのに」

 実は恐妻家の呪い師が身を震わせて刀使いの女から視線を外すと、女は俺に向かって一歩踏み出してきた。
 俺は結婚してないし、付き合いも酒場で馴染みの子が居るくらいで、色々たまってきたら娼館にも行くが、これでも恋愛という奴には少しは夢を持っている。
 この機会でうんとか言ってしまうと、何か無くしてしまいそうだ。

「ちょ、ちょっと落ち着け。
 ていうか、服着てくれ。
 そんな格好されてると落ち着いて話も出来ない」

 俺は視線をそらしながら、女に服を着させると肘掛に座らせて、余ったワインを押し付けた。
 そして呪い師に助けを求めようとしたら、奴は戦利品の鑑定を始めてそっぽを向きやがったのだった。

「まあ、今回は様子を見るさ。
 一回受け入れてほっぽり出すのもあれだしな。
 当面は浅い所で鍛えるさ。
 焦りは禁物、うちのやり方に慣れてもらう。
 おい、それで良いか?」
「……」

 最後に呪い師の奴に確認を取ったが、奴さん何か固まってしまって返事が無かった。

「おーい、どうした?」
「おいおい、マジかよ」
「どうしたんですか?」

 奴は何かを手に持って身を震わせていた。
 こちらを向いた顔は泣き笑いのようで、引き攣った物になっていた。

「は、はは、神様って奴が冗談が好きだとしたら、相当趣味の悪い部類なんだな」
「おい、一体何がどうしたんだよ」
「これを見ろよ。 一見、幸運の護符だ」

 こちらに見せ付ける物には見覚えがある。
 一度こちらの攻撃を身代わりにして消える幸運の護符という奴で、割とポピュラーな代物だが、それがどうしたというのだろうか。

「だがな、こいつを引っぺがすと」

 奴は表の包みを破ると中から銀のプレート状の何かが出てきた。

「どういう偽装かわからんが、こんなもんが二つ混じっていた。
 こいつは俺の目が確かなら……」
「確かなら?」
「復活のゴフッ、護符だ」
「「ええっ!!!」」
「まさか、四階程度で嘘だろ」
「ふ、二つも?」

 俺と刀使いの女が呆れた素っ頓狂な声を上げた。

「だが、事実だ。
 まあ、確認するには使ってみるしかないわけだが……下手に魔術院で鑑定して貰おうとしたらボッタくられるか、最悪召し上げだからな。
 呪いの方は全く感じないから、間違いでも動かないだけですむ」
「じゃあ」
「身近な死人って居ねえからな。
 おい、良いよな、お前が面倒見るっつったんだしな」

 おいおい、顔を真っ赤にして何言ってんだ。

「おっさんが照れても可愛くないぞ」
「やかましいっ」
「じゃあ、決まりだ。
 一枚は試しに使う。
 おまえさんの姉さんとやらは、どこに安置されてるんだ?」
「ちょ、ちょっと待っててください。
 すぐに連れて来ますから」

 そう言って慌しく出て行った女の背に「連れて来るってこんなとこに遺体持ってこ……」言いかけて諦めた。
 仕方なく、そのまま待っていると、余ったワインを二人で飲み終える頃、女は帰ってきた。
 だが、遺体らしいものは無く、大降りの騎士剣を一振り鞘ごと担いできただけだった。

「えーと、姉さん灰になってんのか?」
「いえ、此処に」

 そう言って指し示す騎士剣。

「いや、そう言われて……も……って、まさか剣精?
 それに姉妹って、あんたもか?」

 口をあんぐりとあける呪い師。
 残念ながら、俺は剣精って寡聞にして知らないのだが。
 俺の視線を読み取ったか、呪い師の奴が興奮気味にまくし立てた。
 曰く「剣の精霊であり、魂を持った剣が人身を得た物。 自らを鍛え強さを増すという伝説の類。 手にした者は王にもなれるというが……あんな竜にてんぱって暴れる奴が?」最後疑問形にされても俺知らないから困るって。
 とにかく女に向かって本当かという意味の視線を送ると、女はあわてて手を振って「そんな大した物じゃないです。姉さんはともかく私はまだ駆け出しの下っ端と代わりません」と力説した。

「まあいいや……」
「剣精の死体ってやっぱ剣なのか」とか呟いてる呪い師も一先ず置いておくことにする。

 俺は話を閉めて、復活の護符を手に取った。
 使い方自体は他の護符と変わらないはずだ。
 目標に向けて、開放と念じるだけ。
 ただ、折れた剣に向かって護符使うのはなんか変な感じがする。

「えい、開放!!」

 念じると護符が銀から土色に変わり砕けた。
 そして、砕けた剣が組み合わさり、元の姿を取り戻すと一人でに立ち上がり、一瞬後には完全武装した騎士姿の女が立っていた。

「うわ、マジか……」
「すげえけどなんか夢が現実くさくなった」

 呆然と呟く俺たちを置いて、刀使いの女は騎士姿の女に駆け寄り、泣きながら抱きついていた。
 騎士姿の女は何事か把握できていなかったようだが、妹の姿を見ると安心したのか、刀使いの女を抱き返していた。
 しばらく、俺と呪い師の奴は姉妹の再会を眺めていた。



「とりあえず、こいつ本物みたいだから、売り飛ばしてくるわ」

 呪い師の奴が、護符やら他の品を持って外に行こうとした。

「ちょっとマテや。
 俺をこの状態で置いていくのか、マジで頼むからもう少し居てくれ」
「あなた方のことは噂では聞いていましたが、そんな物を信じていた我が身が恥ずかしい。 あなた方の行動こそ、騎士の規範となるべき行い。 どうか、私の使い手となって頂けないでしょうか!!」
「いや、今回のはたまたま二つあったから使っただけで、次もそうなるとは限らんし、今回のはたまたまお宅の妹さんの幸運のお陰だと思った方がいい。
 大体、騎士なんてのは性に合わない事この上ないもんだから、俺達なんかに使われたら名誉が傷つくぞ」
「いえ、もとより命を救われた以上命を持って仕えるのが我が宿命。
 それに、こういう出会いって運命を感じません? 白馬の王子さまっぽくて」

 勘弁してくれ。

「だから早々に出て行こうとするなよ!! 頼むから何かいってやってくれよ」

 俺が尚も出て行こうとする呪い師に縋るような目を向けると、奴はこちらを向き直りきっぱりといった。

「俺は駄目だからな。 伝説に憧れはしてたが、こんなに生々しい女だとか連れ帰ったら女房に殺される。
 護符使ったのも面倒見るって言ったのもお前だからな。
 責任持って引き受けろよ。
 良かったじゃないか、身売りだなんだじゃなくって白馬の王子様だってんだ。
 男子の本懐って奴だろ!! じゃあなっ」

 呪い師の奴は逃げた。
 俺は姉に対抗したのか、「私の方が先に私の使い手になってくださいと言いました」とか言い出した刀使いの方にも詰め寄られて、結局両方の申し出を受けることになったのだった。

感想なんぞが来たんで、名前入れてみる
by katuragi_k | 2008-08-13 04:26 | SSもどき

cccccc

「あーごめん。 俺って割とそういう話に免疫あるつもりなんだけど、今ちょっと地味にパニックになってるから。
 もう一度整理しながら聞きたいんで、頭からもう一回いいですか?」

 俺が無駄に回転しそうになる思考を落ち着かせて、"黒の書”を名乗る女性にそういうと、彼女はいやそうな顔ひとつせず、オホンと咳払いをすると、どこからともなく取り出したメガネを指でツイと上げながら説明を始めた。

「まず、私を創り上げた者の話をしましょうか。
 名をアリステア=クロウリーといいまして、嘘か本当かアレイスター=クロウリーの異世界での相対存在でこの世界に飛ばされてきたという話です。
 この世界に来たのはたまたまだったようですが、この世界の特異性……内向きの障壁と外向きの隠蔽に阻まれて、結局この世界に骨をうずめることになりました」

「この世界ってそんな事になってたのか……でもここ最近の失踪事件の中には異世界トリップ系の死亡フラグ踏んだ奴もいるはず」

「それはこの世紀に入ってからの話です。
 新しい世紀に入ってこっち、人の意識の揺れによって世界は恐ろしく不安定になっています。
 おかげで、俗に言う”中二病”が蔓延しているわけですから」

「”中二病”がそんな大きな話だったとは……」

「話を戻しますが、アリステアは、この世界で私を作り上げました。
 本来、赤の書による探査の結果で世界間移動が可能になる所を、イレギュラーとはいえ飛べた事でアドバンテージを得ました。
 相対存在である所のアレイスター=クロウリーとの交流によって、
by katuragi_k | 2008-08-02 19:20