人気ブログランキング |

<   2008年 05月 ( 1 )   > この月の画像一覧

ブレイクエイジパクリ導入部でっち上げ(リハビリ)

 CGの映像とは思えないほどの臨場感で再現された、霧けぶるジャングル。
 年季の入ったアニメファンならジャブローとでも呼びたくなる南米大アマゾンを髣髴とさせるシチュエーション。
 ジャングルを分断する大河と入り組んだ支流。
 その中の一つを、人型の機体が腰まで水につかりながら、木々を揺らしつつ進んでいる。
 流石にモビルスーツではない。
 イカツイ鉄の塊とフレームを数珠繋ぎにして、無理矢理に人型をくみ上げたような、不恰好なものだが、その存在感は兵器というモノには似つかわしいと圭は思っている。
 機体の名は『スプリガン』……宝の番人という謂れを持つ妖精の名前だ。
 そしてスプリガンの横を、スカート部すらも装甲で覆い、大口径の砲門と高度なセンサー群を備えた、ホバー戦車が随伴している。

「なあ、圭。
 もうそろそろ、なんか見えないとおかしくねぇ?」

 ホバー戦車『ロシナンテ』のユニットプレイヤー『ドンキホーテ』こと『大橋 隆』が有線通信で、圭にメッセージを送ってきた。

「もう少し進めば……ってもう戦闘の予測されたエリアか。
 いくらなんでも静か過ぎるな。
 まあ、あの連中が大人しく俺らを待ってるとも思えないから、何かあったんだろうけど。
 相手も同程度の連中だし、まさか全滅なんてことは……。
 いや、まてよ……なあ、なんか嫌な予感がしてきたぞ」

 圭がこういう予感は良く当たるもんなんだよなと思いつつ隆へ愚痴る。

「同感……そして、流石のナイスインスピレーションといってやるよ。
 三時の方向、距離1200にてクライアント様の成れの果て発見」

 スプリガンが感知能力に勝るロシナンテからのデーターを受け取る。
 押してその画像を見て圭の一言。

「うわ、一・撃・必・殺」

「だな」

 その映像には、アニメじみたトリコロールカラーの人型機体を、癇癪を起こした子供が胴体で引きちぎって投げ捨てたような光景が映し出されていた。
 恐らく大出力の攻撃で撃ち抜かれたに違いない。

「あの機体って、カテゴリ1でも金掛かってるだけ有って、それなりの性能だったはずだぜ。
 少なくとも俺のロシナンテでも、お前のスプリガンでも、あんなぶっ壊し方は無理だろ」

 隆の呆れたような声が問いかけてくる。

「まあ、無理かな。
 撃破するにもかなりボコボコにしないと……あんな風に一発でぶっちぎるのは絶対に無理。
 まして、喧嘩相手の連中もカテゴリ1。
 その豆鉄砲であんな風になるわきゃ無いよな」

 南無・アーメンと特段信じてもいない祈りをささげつつ、圭は今回の仕事を請けるときの打ち合わせで散々聞かされた、あの機体のスペックを頭に浮かべ、その機体を1ショットキル出来る相手の能力を想定しようとして、「はいはいカテゴリ4カテゴリ4、ワークスワークス」みたいな答えしか出なかったので考えるのをやめた。
 圭がそんなことをつらつら考えていう間、 隆は「まさか、クライアント様みたいな身内の喧嘩に、金で傭兵雇って勝とうとかするような、陰険メガネが他にも居るってのー、サイテエー」等と呟いていたが、気づいた圭が「いや、それ雇われてる俺らが言うことじゃないから」と突っ込んだ。

 圭と隆から同時に溜息が漏れた。

―――――――――

 10年前、全国のアミューズメントパークをネットワークで繋ぎ、カスタマイズ可能な機体をもって戦闘を行うゲームが発表された。
 最初こそ、戦車や四足のロボットもどきが精々だったが、繰り返されるアップデートによって、現在では四つのカテゴリに分かれたユニットが、あらゆる戦場でしのぎを削るまでになっている。
 デザインの幅が広く、端末の能力もそれほど要らず、挙動やコントロールが共通な為に扱いやすいが、反面パラメーターが機体全体でしか扱えず、また機体のどこに被弾しようと、全体のHPが削られ、そのつど能力が比例して落ちるカテゴリ1。
 ユニットの各部ごとにパラメーターを持ち、部位破壊を採用されたことにより、サバイバビリティが増大したが、若干扱いにくくなっているカテゴリ2。
 ユニットを収めるフレームを3Dモデルとして成立するようにデザインし、その内部にユニットを詰めていく為、デザイン性や挙動に制限が大きく発生するが、装甲の概念が導入され、シールド等での防御が可能になり、またカテゴリ1,2よりもはるかに情報の処理がプレイヤーの端末に依存する為、端末性能を要求されるものの、扱える情報量も多くなるカテゴリ3。
 そして、カテゴリ3を超え、フレームにとどまらず、駆動機構にまでデザインを施し、最高レベルのワークスでは、要求を満たす材質の材料があれば、機体の作成が可能とまで言われるほどの情報量を詰め込むカテゴリ4。

 以上のような4つのカテゴリのデーターを共通フォーマットとし、各社が様々な形態の戦闘形式や戦場を用意しているのが現在の『ミッシング・ウォー』と呼ばれる一大アミューズメントシステムである。

―――――――


「圭!! 」

 これからどうするべきか考え込んでいた圭を、隆の声が思考の中から呼び起こした。

「何だよ、脅かすなよ」

「いいから、頭下げろって。
 そんでこいつがさっきの残骸の更に向こうのデーターね。
 パッシブの限界ぎりぎりで振動を感知したんで、うっかり光学センサ向けたらたまたま映った」

 呆れつつも緊迫感のある声という、珍しい隆の声を聞きながら、圭が送られてきた画像を見る。
 そこには粗い粒子ながら均整の取れた人型が見える。
 パッと見はカテゴリ1のデザインかと思えるようなものだが……構える長大な火器と、おもちゃじみた軽いカテゴリ1の動きとはまるで違う、現実味のあるその動きが圭に最悪の答えを示した。

「げえっ、ホワイト・グリンデ」

 圭の頭の中にジャーンジャーンと銅鑼の音が鳴り響いていた。
 ホワイト・グリンデ……白のグリンデと呼ばれる、人気ゲームACE’S・COREに登場する主人公格の搭乗機体である。
 真っ白な機体色とその優美なデザインで非常に人気が高く、ミッシングウォーの各関連メーカーもそのデザイン機体を出してはいるが、あくまでもカテゴリ1の着ぐるみデザインか、ユニット2までの話だった。
 それが此処最近、ワークスも真っ青なカテゴリ4の機体で、そのデザインを再現した物が現れたと噂になっていた。
 すわ、カテゴリ4でホワイト・グリンデ発売かと祭りになったりしたものだが、どのメーカーもそのような事実は無く、一品物だとしても商品になりうる値段ではないとのコメントが流され、釣りだったのかと祭りは沈静した。
 だが、実際にはホワイト・グリンデの乱入を受けた、カテゴリ3クラスのカスタム機やフルメイドのユニットを操る古参ユニットプレイヤーも居り、そのぶっ飛んだ性能とその機体を操るプレイヤーの事は、実在するが恐らくメーカーの仕掛けたイベント機体ではないかと言うのが一般的な見方である。
 だが、圭の見方は違う。
 圭もホワイトグリンデには何度か遭遇し、数度の全損を含めてろくな目にあっては居ない。
 しかし、圭は一度、ホワイト・グリンデにクリーンヒットを与えたことがある。
 回りの機体の残骸に埋まりながら、瀕死で機能停止状態寸前の機体を宥めすかして待ち、ホワイト・グリンデが隙を見せた瞬間、一撃を喰らわせたのだった。
 その時、圭はオープンチャンネルで「ざまあごらん遊ばせーはっはっは」と叫んだのだが、その次の瞬間、頭を吹っ飛ばされたホワイト・グリンデが銃口をスプリガンに向けながら、「良くもやってくれたわ」という、背筋の凍るような冷たい怒りの声をプライベートチャンネルから流し込んでくるのを聞いた。
 そしてゲームオーバー。
 あれは間違いなく人間、それもメーカーの人間とかじゃなくて機体への行き過ぎた愛着を持つタイプのマニアだと圭は確信している。
 そして、そんなのに出会ってしまったら、ただでは済まない。
 それはそれ以降の数度の出会いが物語っている。
 ふらっと立ち寄った戦場にスプリガンが居ると、ひたすらスプリガンを狙ってくるのだった。
 しかも全損狙いで手足潰して頭潰してからコアを潰そうとしてくる粘着さ加減。
 お陰で、圭の回避操作と耐久力に関してのカスタマイズ技術は急上昇し、今では全国でも知る人ぞ知る(それでもランキング上がってはホワイトグリンデに全損で叩き落される為、目立たない二流の位置に居るものの、生き汚さは全国レベルという、ある意味トップランカーにも一目置かれる)存在となっている。

 話を戻そう。
 圭にとって、そして圭と常につるんでいる隆にとってもホワイト・グリンデは鬼門どころの話ではない。
 関わった所で得るものは無いのだ。
 つまり、ブッチしてゲームから出てしまいたい所だが……。

「なあ、どうする?」

 なんだか悟ったような声音で隆が圭へ判断を促した。

「ゴーホームしたい……」
「素直な気持ちありがとう、とっても心に響くけどな。
 一応、傭兵の仁義ってもんがあるよな……」
「……」
「例えばだ、あの連中がホワイト・グリンデをデザインオンリーの身内のカテゴリ1だとでも思って手を出したとしよう」
「いや、いくらなんでも、カテゴリ1と4は見たらわかるんじゃ?」
「いや、連中の目は節穴に近いぞ」
「ああ、それはなんだかよく判ってしまう」
「それで、あの姫様のお怒りに触れて殲滅されたとしてだ」
「ああ、言いたいことは良く判る……付き合って死ねと?」
「そんなとこだ」
「一緒に全損食らえば、一応は言い訳も立とうってもんだろ。
 俺も付き合うしよ」
「仕方ないなぁ……」

 圭と隆が言葉を交わしている間にクライアントの皆さん、圭たちと同じ学園に通うモデリングデザイン研究部の連中が、今日戦う予定だった近所の学園のゲーム研究会と一緒にリスポーンしてきた。 元々、このフィールドはバトルロイヤルのステージな為、リスポーンは特に禁止されていない。 ただ、今回は予約入れたりが面倒だった為に、人気の無いこのエリアでルールを決めてチーム戦(簡単に言えばリスポーン自主規制でサバゲーORフラッグ戦)をやるつもりだったのだ。
 因みに、一緒にリスポーン(復帰)ということは、一緒に殲滅されて敵が出来たことで仲直りでもしたのだろうか?

「こうなれば仕方ないか……お付き合いしましょう」
「ですな」

 圭と隆は覚悟を決めた。


――――


 白い機体が右の手に掴ませていた砲身を振り上げた。
 砲身は腰から伸びるアームに支持されており、その機体の身長ほどもある長さを感じさせずに機敏かつ繊細な動きで犠牲者第一号をターゲットし、火を噴いた。

 ドン キュドッ ズバン 三つの音が一瞬に重なり、モデ研ゲー研連合軍8機の内、一番右端に居た機体が、見えないトンカチで吹っ飛ばされたようにバラバラに千切れとんだ。

「おいおい、火砲とレールガンのコンポジットって、しかも腰支持のスマートガンかよ。
 普通にライフルとか持ってるだけで泣けたのになあ」

 隆が取れたデータを圭に送りつつ、そのトンデモ兵装に半笑いになっている。
 そして嘆いている間に、二機目三機目が消し飛んだ。

「武装が減ってる分、あれ潰せば何とかなったりしないかな?」
「なれば良いなぁ」

 あえて囲まれながら、引き撃ちで一機づつ片付けているホワイトグリンデが、丁度圭たちの方へ移動してきている。
 今までの経験から、ホワイト・グリンデのセンサー範囲は広めではあるがロシナンテに勝るということは無い事は判っている。
 そこで、圭はスプリガンの兵装中最大の直射射程を持つ270㎜滑腔砲を使い、ロシナンテとのリンクから取ったデーターを元にして狙撃する事にした。
 狙いは腰から伸びるアームと砲身との接合部。

「さて、狙撃なんてコスイ手……失敗して見つかったらコア抉り出されて握りつぶされたりしそうだ。
 それでも、見事に当たってアンニャロの呆然としたとこを見られるとしたら……なんかドキワクするなあ」
「ほらほらバカやってないでちゃんとやれよー。
 ほら、また2機死んだ。
 残り3機だぜ」

 圧倒的過ぎる力の差だった。
 カテゴリ1とはいえ、8対1で囲んでいた所から、危なげも無く一機一発で仕留めていくとかホワイト・グリンデ何物ぞといった所だ。

「さて、どうせ一発勝負ならやる事やっとこうか」

 圭はスプリガンの管制プログラムを呼び出すと、手動でポーズの設定を始めた。
 左足を敵方向へ伸ばしたまま泥に埋めロック。
 右足は90度展開してひざを突いてこちらも泥に埋める。
 これで下半身が台座と化した。
 ついで、腰の駆動をマニュアルの照準と連動させる。
 ダンパー以外を半固定。
 滑腔砲にはAPFSDSを装填。
 弾速からすると通常のAPの方が距離の融通は利くが、今回は引き付けての一発勝負。
 1000距離以内ならこちらの方が貫通する率が高い。
 そして、常なら半自動照準でフルオートの射撃を行う所をフルマニュアルのセミオートに切り替える。
 ぶっちゃけると今のスプリガンはでかい対空砲ないしは対戦車砲でしかない。
 先に見つけられれば回避どころか急接近されるだけで攻撃ができなくなる。
 あくまでも、長距離での先制だけを考えているのだ。

 それらの設定を圭が終える頃、隆の方もロシナンテとスプリガンとのリンクの作業を終えていた。
 たったケーブル一本の接続だが、二機はひとつの兵器となったのだ。

 そしてその時、丁度最後の一機がマシンガンを無闇と撃ちながらホワイトグリンデに突撃する所だった。

 軽くステップで火線をかわされて、ついと上げられた銃口が火を噴くと八機殲滅完了。
 詰まらない物を撃ってしまったとでも言いたげな風情で白い機体が立ちすくんでいる。
 その機体へ向かって、まずロシナンテがスプリガンの滑腔砲と射線情報をあわせた砲塔で射撃を行う。

 砲口からマズルフラッシュ。
 着弾寸前、ホワイトグリンデが反応した。
 流石にどれだけ準備しても、撃ってみないとわからない情報は多い。
 射撃は外れたものの、その射撃から得た情報をフィードバックしてロシナンテがスプリガンへ送りつける。

「決めろよ」
「おうさ」

「今のはどこから?」

 ホワイトグリンデがセンサーをパッシブモードからアクティブに切り替えた。
 スプリガンとロシナンテにレーダー波が叩きつけられる。
 そしてまったくダメージを受けていない電磁波吸収剤がそれを反射させない。
 二機ともに、ホワイト・グリンデのお陰で水準以上のカウンターセンサーの機能を持っている。
 簡単には見つからない。

「レッツJAM」

 圭の右手がトリガでリズムを刻む。
 タン、タタン、タン、タン、タタン。
 機体が静かに吼える。
 光学のレティクルを見ながら、ダンパーの利きと相談しつつ照準を左手で滑らせる。
 ホワイト・グリンデをリードするように優しく繊細に。
 レティクルの中のホワイト・グリンデに火花が散る。

「おお、すげー!!
 完全に嵌った!!」

 ロシナンテのセンサー情報を見て隆が狂喜している。
 スプリガンの滑腔砲からバースト射撃で吐き出されるAPFSDSが、ホワイト・グリンデの装甲に弾かれたり砕かれたりしつつも、幾つかが抜いているのを確認したのだ。
 曳光弾とか入れてない辺り、博打打ちなのかチキンなのか判りにくいが、そのお陰で未だホワイト・グリンデはこちらを特定できないで居る。
 いや、場所はほぼわかっているのだろうが、今の半シェイク状態では対応できないのだろう。
 このままスマート・リニアガンを潰せれば勝ち目が見えてくる。

 しかし、幸運の女神様はなかなかに厳しい方らしかった。

「いい加減に……しなさい!!」

 ホワイト・グリンデがあちこち駆動に問題が出ているのをねじ伏せて、こちらにリニアガンを向け、応射してきた。
 それが事もあろうに、ロシナンテを貫いた。

「にゃにい!!」

 素っ頓狂な声を最後に隆の声が途絶えた。

「だから感覚で動く天才とか嫌いなんだよ!!」

 補助を無くして照準がぶれるのを宥めすかしながら圭が止めを入れんと、ライフルカノンを連射する。

「そこっ!!」

 ホワイト・グリンデのプレイヤーの声がいつの間にかオープンで流れていた。
 そのどこの新人類?みたいな台詞を吐きながら、スプリガンに一撃を食らわせる。
 スプリガンの右腕、シールドであり、カウンターウェイトである鉄の塊が引きちぎられた。
 しかし、スプリガンは倒れない。
 もう撃てるものは120ミリ重機も370ミリ榴弾砲も見境無く撃ち放つ。
 その火線にさすがのホワイト・グリンデも少なからずダメージを受けていた。
 特に、上半身の装甲の砕かれた部分にラッキーヒットした榴弾が、内部機構を引き裂いた。
 そして内部破壊が、左腕と背面のスラスターを諸共に爆散させた。
 しかし、それでもホワイトグリンデは落ちなかった。
 未だ無事な右手のリニアガンをなおも撃つ。

「「いい加減にぃ!!」」
「「落ちろ」なさいよっ!!」」

 二人が叫び、ゲームが終わった。


---------------------

 拍手でのご指摘どもです。

 勘で動く天才なんか > 感で動く天才 に間違ってましたが、

 超感覚とかなら いいのかな という文面見て、 天才は勘より感覚のほうがしっくりくるかとおもいまして、感覚という言い方に変えました。

 滑空砲修正 口径も鉄騎にみあわせて少し修正。

 スプリガンの武装ですが、基本 315ミリ(近中距離用ライフル砲/対装甲炸薬弾頭) OR 270ミリ(中距離用滑腔砲/ピアッシング用対装甲特殊弾頭)が主武装。 370ミリ多目的ランチャー(榴弾撃ったり地雷撒いたりミサイル撃ったりと準備次第でいろいろ) 及び 120ミリ重機関砲(ほぼ固定武装)は空きリソース次第。 チャフ、フレア、スモークなんかは基本的につんでいる。 
by katuragi_k | 2008-05-07 22:11 | SSもどき