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ランサーお仕事シリーズ(仮)7

「おいおい、あいつら何考えてるんだ?」

待ち合わせをしていた場所にたどり着いた第一声が、そんな言葉になる程の違和感を垂れ流している5人組を見て、ランサーが嫌そうな顔をした。 
どれくらいかというと、何かの心霊スポットかという位に雰囲気がおかしい。 
そのテーブルの周り一つはぽっかりと開いているのが何よりの証拠。 
あたりは其処には何も無いように見ない振り気付かない振りをしている。

「俺、帰っていいか?」

そう言いながら、既に流れるような動作で回れ右をしかけていた。 
そしてバゼットは、あちらに向いた状態のランサーの肩をガッシと掴んで、回転方向にクルリと更に半回転追加。 
回れ右が一回転してまた向き合う形になる二人。

「お帰り」

「た、ただいま……」

ニコリ微笑むバゼットの笑みがランサーを固まらせる。

「ちょっとした冗談だ、仕事が待ってるぞ」

口元のヒクツキを押さえながら、ランサーがホレホレとバゼットを5人組の不思議空間に押し出す。 
何か言いかけたバゼットが不満そうにも歩いて向かうと、件の5人組が人形じみた動きのそろい方でバゼットに視線を向ける。 
流石にバゼットも一瞬たじろいだが、気合を入れなおしてリーダーだろうと思われる男に声を掛ける。

「マクレミッツだ。 例の行方不明者は確保した。
 やはり管理者にちょっかいをかけてやられたらしいな」

その言葉を聞いて、男達はやはりとかまさかとか口々に呟いている。
だが、それらには頓着せずバゼットは言葉を続ける。

「その辺りは調べがついているが……そこで、だ。 
 貴様らが、これからどうするつもりなのか聞かせてもらおうか」

大人しく帰るならばよし、さもなくば……といった感じでプレッシャーをかけるバゼットと、阿吽の呼吸で一歩前に出るランサー。 
二人のプレッシャーに息をする事も出来ず、パクパクと口を開け閉めするだけの5人組。
辛うじて、リーダーの男が震える手で何度か失敗しながらグラスの水を飲み干し、息を吹き返した。 
それを見て多少は感心したのか、バゼットが「ほう」と剣呑な殺気を収める。

「わ、我々もただの子供の使いという訳にはいかん。
 それなりの成果を掴んだ後ならいざ知らず、何もせずただやられただけで、
 おめおめと帰れる訳が無かろう」

リーダーの男が息切れ切れながらもそう言い切ったのを見て、ランサーも少々見方を変えたらしく何か面白そうに見ている。

「なるほどな、それなりの覚悟で来ている訳だ。
 だがなあ、相手が悪いぞ。 少なくともあの嬢ちゃんだけでも手に余ると思うんだがな。
 英霊を味方につけてるって意味は、今感じたろう?」

何時の間にか、気の毒そうな口調になっているランサー。
男も侮辱ではなく、本気で心配されている事になおさらの屈辱を感じているらしい。
だが、ランサーが英霊の一騎だと知っているらしく、先程のプレッシャーからその存在のとんでもなさを幾らかなりと感じたのだろう、同じく英霊を伴っているという魔術師にどうすれば良いか等、想像もつかないのか黙り込んでしまった。

「もう一度言う、 引く事も勇気だぞ。
 はっきり言ってあの嬢ちゃん達には俺も関わりたくない。
 悪い事は言わんから、大人しく帰れって」

何時の間にか感情移入したらしく、今にも男達の肩を叩いて酒でも飲みだしそうなランサー。
色々とランサーの苦労がしのばれる。 
バゼットは呆れたのか、何も言わずにそっぽを向いてため息をこぼしている。
そこに黒服のウェイターがそっと近寄って来た。

「失礼いたします。
 あちらにクー・フーリン様当てのお電話が入っておりますが、
 こちらでよろしかったでしょうか?」

その言葉にランサーはバゼットを見る。 バゼットもランサーに首を振り応える。

「一体誰からだ? その電話ってのは」

不審気にウェイターに問い詰める。
ウェイターはひっと息を詰らせると、慌てて相手の名前を言った。

「り、柳洞さまと伺っています」

「ち、あのガキか……ちょっと行ってくらあ」

そう言ってから、ウェイターの肩に手を回して「すまんかったな」と一言。
そして胸ポケットからピンでまとめた札を一枚取り出して、ウェイターのポケットに差し込んだ。

「電話に案内してもらえるか?」

「は、はい。 こちらです」

現金にもチップで笑顔を取り戻したウェイターはランサーを案内し、受話器を浮かせてある電話を指し示した。
ランサーは受話器を取り、耳に当てる。
しかし、受話器からはツーという音しかしない。
どういうことだ? と問いかけようとしたランサーの背後から、よく知った声が掛けられた。

「アンタなあ、一体何してるんだよこんなとこで。
 客だというならもてなすけどさ。
 あの変な魔術師の五人組にセイバーまで居て、
 アンタとバゼットさんが、単に飯喰いに来ましたなんて言わないよな!!」

えらい剣幕の柳洞一哉だった。

「おいクソガキ、それはこっちのセリフだ。
 何でお前がこんな所に居てそんな服着てやがるんだ?
 お前まだ学生だろう? それにセイバーだと? 冗談じゃないだろうな?
 そんな気配は……!? マジか、居やがる。
 なんで、こんなに気配が薄いんだ?」

カズヤの渋面がランサーにも感染した。
そして二人して表をのぞき見る。
嬉々として幸せそうに料理を頬張るセイバーの顔を見つけ、ランサーはガクリと肩を落とした。

「あんなに幸せそうな顔してりゃ、そりゃ戦気もくそもねえわな」

再び裏に戻って顔を付き合わせるランサーと一哉。

「今回セイバーは関係ねえ。 あの5人組とは待ち合わせだ。
 連中は協会から来てる魔術師でな、聖杯戦の経緯に疑問が有るとかで調査に来たんだと。
 だがいきなり一人リタイアしたんで、早々にバゼットに泣きついてきたって訳だ。
 そんなわけで情けない奴らだと思ってたんだが、単に相手が悪すぎるだけで、
 そう端にも棒にも掛からん人材って訳でもないようだな。
 痛い目に会わんうちに帰るように説得してるんだがなあ」

「その辺には妙に同情してやりたい気もするけどさ、
 こんな所で何かやらかすような事はやめてくれよ。
 こちとらバイト中なんだからな!!」

頼むよと言って、ランサーを席に送り出そうとしていた一哉の背後に、パタパタと銀髪の女性が走りこんできた……平穏をどん底に突き落とすメッセージを持って。
by katuragi_k | 2004-10-30 21:54 | SSもどき

ランサーお仕事シリーズ(仮)6

「おい、こんな所で落ち合うのかよ」

ガヤガヤと賑わうレストランを見ながら、ランサーがポツリとバゼットに溢した。

「どうも人気が無いと安心できないらしいわね。
 一応これだけ人目があれば、物騒な事にはならないと踏んでいるんでしょう」

「成る程な」

そんな物かと思いながら、ランサーはレストランに足を踏み入れた。

―――――――――――――――――――――――――――――

ランサーとバゼットがレストランに入る少し前。

金髪の少女がランチクーポンを握り締め、戦場に在るかのような気合でバイキングの開始を待っている。 

「シロウ……あなたの犠牲は無駄にはしません」*1

本人が聞いたらなんと言うだろうって感じのセリフを吐きつつ、その視線はバイキング開始時間に近づくと共に並べられていく料理類に釘付け。 なんと言うか、色々シミュレーションしてるんだろうなと言った風情をかもし出している。 何故判るかといえば、恐らく無意識であろうが手元が勝手にナイフ・フォークで何か食べているようなパントマイムをゴソゴソ演じているからである。

そして11時。

―戦闘開始―(オープン・コンバット)

―――――――――――――――――――――――――――――――

「あれ?」

一哉が異変に気がついた。 若干では有るが、お客さんのテーブルががちゃついている。 ホールの担当が下げてくる皿の量と回転はサボっているような風ではないのだが……取りあえず一哉は自分でボツボツ下げる事にした。

「まただ」

何故かは判らないが、一哉の立っている出入り口付近のテーブルがまた、がちゃついている。 先程から見ている限り、お客様が無理矢理な量を持ってきたり皿を無闇に使っている訳でもない。 ただ、ホール係のウェイターが皿を下げている姿がこちらまでやってこないのだ。 下げ物の巡回はバックヤードの出入り口から出て、奥を回りこちらに回ってきてまた厨房のほうに消えていく感じで行っているのだが、どうも途中で持ちきれなくなって帰っているらしい。 新人でもあるまいし、有る程度以上の枚数の皿をは持てるはずのウェイターが途中で引き返していく。 もしや奥にたちの悪いオバちゃん軍団でも居るのかと思ったが、見た感じ落ち着いている。 

「おかしいなあ?」

各テーブルの上にある皿の枚数はおかしくは無い。 ふと見ると、ウェイターを呼び止める金髪の小柄な女の子が居た。 どうやらトレイをウェイターに渡して下げてくれと言っているらしい。 綺麗に食べていて好感が持てる。 きちんと食べてくれると妙に嬉しいのはサービスしている側の感想だが、どこか良い所のお嬢さんなのかもしれないなと一哉は思った。 だが、妙にウェイターの笑顔がこわばっている。 外人さんぽいから緊張しているのかなと思ったりもしたが、一言そのウェイターに言っておいたほうが良いかなと、下げ物を手に帰ってきたウェイターに呼びかける。 女の子は片付いたテーブルを立ち、またバイキングコーナーに向かっていった。 多分デザートでも取りに行ったのだろうと思い、一哉はウェイターを追いかけ裏手に回った。

「さっきの女の子に変な顔してたけど、何か有ったの?」

少々問い詰める感じで年上のウェイターに話しかける。

「えーとですね……話すより見てもらったほうが」

何か言いにくそうに、一哉を引張りバイキングコーナーへ向かうウェイター。 アレをと言われて見た先には、先程の女の子が立っている。 そしてそのトレイに乗っているのは、デザートでは無く……普通にまたメインから一揃えの料理。 パン、スープ、メイン、サラダ、先程下げた構成と皿の中身以外は同じだった。

「もしかして、あれで3回目?」

それならギョッとした顔も説明がつく。 一回下げて、また同じような量を食べてるのを見れば驚くだろう。 そしてまた今の光景は驚異という他は無いものだし。 だが、ウェイターの応えはもっととんでもない物だった。

「かれこれ……七回目になります。 今ので八順目ですね。
 きちんと毎回ダブらないようにしていますから、全制覇するつもりじゃないですかね」

アハハと乾いた笑いのウェイターが仕事に戻っていった。 そして、成る程さっきから皿が片付いてなかったのはそういうことかと一哉は理解した。 確かに皿は結構持てる。 だがそれは同じ種類の皿を重ねるからであって、トレイごと渡されればそうは持てない。 毎回、そんな物渡されてれば片付かんわなと……。 しかし、大体一通り持っていけばそれなりに腹は膨れる量になるはずなのだが、かれこれ八順目? どういう奴なんだとじっと見詰める一哉はとんでもない事に気がついた。

「ヤバイ……緊急事態だ」

そう呟いた一哉が気付いたもの。 それは、その金髪の女の子が髪を下ろした格好の、かの騎士王だと言う事。 そして、今入ってきた客が魔術師と英霊のペア。 つまりバゼットとランサーだという事。 そして、その二人が向かっている席に居る五人のビジネスマン風の連中が、揃って魔力の残り香を感じさせる事。 一哉は仕事がそっち関係じゃない事で油断していた自分に舌打ちし、ゼノビアに話さないととその姿を探した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――




*1「シロウ……あなたの犠牲は無駄にはしません」*1

深山商店街の福引において、衛宮士郎氏が新都のホテルのランチクーポンを引き当ててGET。 しかし、ペアチケットだった為に衛宮士郎氏が誰と行くかにおいて揉めた模様。 争奪戦に出遅れたセイバー嬢は、衛宮士郎氏のための一枚が誰の目からもフリーになっているのを察知。 主の危機と銀髪ロング、黒髪ツインテール、同セミロングの危険度、そしてバイキングフェアの誘惑を秤にかけ、英霊としてはかなりアレな答えを選択。 そしてその選択を行動に移す為、抗争勢力の只中に衛宮士郎氏を「ここはシロウが何とかしなければ」というセリフと共に突入させ、抗争が激化した間隙を縫ってセイバー嬢はチケットを確保し衛宮邸を脱出、ここに至る。 その後、衛宮士郎氏がどうなったかは不明。 しかし無事ではなさそうな結果が、今までの過去の例より導き出される事は想像に難くない。

ゆえにセイバー嬢から上記のセリフが出た模様。
by katuragi_k | 2004-10-28 21:46 | SSもどき

ランサーお仕事シリーズ(仮)5

正午前のビル街。
あちらこちらに飲食店やら移動販売のワゴン車が見える。 ぽつぽつとフライング気味に昼休み突入のいろんな制服を着た女性達が、数人寄っては弁当だったり買ったパンだったりを下げてお気に入りの場所に歩いてゆく。 そんな中にあって、どうにも浮いた感じのカップルが居た。
一人はスーツ。 似合ってはいるが着ている者は明らかに女性。 きりっとした視線はガヤガヤとしたビル街を呆れたようにも興味深げにも取れる風に眺めている。 もう一人はカジュアルな感じである。 白のスラックスにブルーのシャツ。 ジャケットは脱いで、指に掛けて肩からぶら下げている。 二人共言うまでも無く、バゼットとランサーでは有る。 人目を無闇に引き付ける存在感と、ジロジロ眺めにくい緊張感を併せ持つ迷惑な雰囲気を撒き散らしながら、昼の新都を闊歩する。

「そろそろ時間じゃねえのか?」

ランサーが落ち着かなさ気にかれこれ四度目の問いを繰り返す。 ふむとバゼットが銀行の時刻表示版に目をやる。 そして自身の時計を眺め、またふむとランサーの顔を見る。

「そうだわね。 でも、あの連中の時間にぴったり行ってやるのはね」

ちょっとね。 とバゼットが意地悪そうににやりと笑う。

「わからんでもないが、そろそろ俺らも恥ずい事になってる気がするんだがな」

と、辺りを見回すランサー。 その視線に追い立てられたように周りからの視線が外れていく。

「う、それもそうね。 そろそろ時間潰しも終わりにしましょう」

そう言って、バゼットは一角向こうにあるホテルを見上げた。

―――――――――――――――――――――――――――――――

「ほいほい、そろそろランチバイキング回るんでこっちの方は宜しく~。
 おーーい!! そこは三尺六尺のテーブルだってば!!
 誰だよ一尺五尺の投げてあるのは!!
 もう良いよ。 そこの端にクロス被せて荷物置きにしといて。
 配置表ちゃんと見る!! 北上じゃないぞ。 上座いつもと90度回ってるかんね。
 佐田さーーん。 ローテ回して昼飯行かせといてね。
 帰りにスチュワードから皿とタンブラー上げて来て。
 ブッフェ140名だから400撒いてサイドに300確保。 よろしく~」

宴会場でバタバタと走り回る制服の群からうーっすと返事が返る。 返事を受けて出て行くのは、その中でも一番若いんじゃないかと思われる男。 えらそうに指示を飛ばしているが、本人かなりしかめっ面でブツブツ言っている。 その後ろにパタパタ走る銀髪の女性を引き連れながら、エレベーターに乗り込む。 周りに人目がなくなると、バインダーとにらめっこしてウムムと唸りだした。

「幾らなんでもこのスケジュールは酷いと思わない?
 宴会周りだけかと思ったらメインダイニング迄はいってんじゃん。
 こんなの俺見たいなガキに振るかよ。
 各々マネジャークラスにやらせるこったろう?」

どう思う? と男……というには若い少年が銀髪の女性―さっき居たウェイトレスの制服じゃなく、黒いスーツ姿の制服に身を包んで居る―に話かける。

「それは、かずやさんが信用されるだけの実績を上げているからだと思いますよ。
 それに……私がこうやって役に立てる機会が有るのは嬉しいです」

女性は後ろに回って少年の首を抱く。 ジャケットに押さえられている胸が押し当てられる感覚に、少年こと柳洞一哉はあのあのあのとオタオタしだす。

「ちょちょちょっとゼノビアさん。 嬉しいんだけど嬉しいからやめるのはおかしいな?
 じゃなくて!! 人目は……ないのか。 じゃあ……いいのか? 
 でもなくて!! 今仕事中、仕事しなくちゃ!!」

ジタバタと離れようとしつつ、一哉はバインダーをゼノビアに見せるようにパタパタ振ってアピールする。 

「じゃあ、仕事が終わったら……何かご褒美下さいますか? ご・しゅ・じ・ん・さ・ま」

一哉の態度にやや不満気なゼノビアが、更にキュッと抱き付き一哉の耳元にそう呟いた。

「ご、ご褒美って?」

冷や汗を蛇に睨まれた蛙レベルでダラダラ流しながら、一哉が背後のなんだかスイッチの入っちゃったゼノビアに圧倒されつつ声を絞り出す。

「何でも良いんですけどー。 じゃあ、何か考えておきますから~♪」

「もう確定なんですね……お手柔らかに願います」

勢いづいて機嫌の良くなったゼノビアが一哉の後ろ頭のつむじにチュッとキスを降らせた。
そして一階に到着。 ドアが開く寸前にゼノビアは離れ、そのまま二人は仕事の待つレストランに向かうのだった。

―――――――――――――――――――――――――――――――
by katuragi_k | 2004-10-28 01:16 | SSもどき

ランサーお仕事シリーズ(仮)4

「帰ったぞー」

ランサーがちょっと疲れた風に姿を現した。

「お帰り。 早速動きがあったらしいわね」

バゼットが笑って答える。 するとランサーは、おやおやと目を見張る。

「やれやれ、耳が早いな。 驚かそうと思ったのによ」

ランサーはガッカリだぜと両手を挙げて不満そうな顔をする。

「細かい事は知らないわ。 ただ、連中から助けてくれとね。
 まさか此処まで意気地が無いとは思わなかったけど」

そう言いながら、バゼットはインスタントのコーヒーをふたつ用意する。
ミルクと砂糖ね? とランサーに聞きながら自分はブラック。

「とりあえず、会の息の掛かった病院に放り込んどいたからな。
 何か聞きたい事があるんなら雨月に繋ぎをとればいいぜ」

サンキュと言いながらコーヒーを受け取るランサー。

「ああ、多分聞く事は何も無いと思うわ。
 一応雨月氏には、これからも入院患者が増えるかもしれないと言っておいたけど」

自分もコーヒーをすすりながら応じるバゼット。

「それで? こんなに楽しい事になったのは誰のお陰なの?」

「それがなあ……」

事の顛末を気の毒そうに語るランサーと、聞く端から肩を震わせるバゼットだった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
by katuragi_k | 2004-10-26 15:14 | SSもどき

ランサーお仕事シリーズ(仮)3

――るるるるるるるる・るるるるるるるるる

電話のベルが鳴っている。
なんだ? 今頃。
番号の通知を見る。
どうやら仕事の依頼のようだ。
少々義理のある相手、断るわけにもいかないようだな。

「はい、もしもし。
 はい、はい。  明日? えらく急ですね。 
 報酬は3倍?そりゃまた、張り込みますね。
 それで誰も捕まらなかったんですか?
 え? 彼女もですか? それは何処から?
 ち、余計な事を……いえいえ、こちらの話です。
 それなら仕方ありませんね。
 三倍と言うのは彼女の分も含めてですか? え、個別に三倍。
 それならまあ。 はい、受けましょう。 
 ただし、あまり同業の紹介とはいえ僕みたいなのを使って大丈夫なんですか?
 はあ、信用している。 それはありがたい事ですけどね。
 判りました……明日、新都に出来た新しいホテルですね。
 細かい事はあちらのメンバーと合流して。
 で、コントロールですが……だれに。
 え、僕がトップですか? それは動きやすいと言えば動きやすいですけど。
 言う事聞いてくれますかね? え、はいはい。
 ああ、あの人がサブに付く。 それならあの人がトップでいいのでは?
 えー、彼女に喋りかけるのが駄目って、そりゃまた。
 判りました。 じゃあ、六時半に」

ふう、厳しいミッションになりそうだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――

――ジャンジャン!! ジャンジャン!! ジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャンジャン!! チャ~ラ~♪

ジョーズのテーマなんていう物騒な着信が入る。 それを聞いて上着から携帯を取り出すのはダークブルーのスーツを着込む男装の麗人。 ピとボタンを押して話し出す。

「はい、マクレミッツ」

短く名乗って相手の言葉を待つ。 口元にはねずみを見る猫と言うか、少々残酷な笑みが浮かんでいる。 どうも相手の用件はあらかた読めているらしい。

「メッセージは聞いてくれたのだな。
 いや、それ以上は何もしてはいないよ。 今はな。
 何か有ったのかね。  ほう、一人消えたか。
 なに? 私か? 冗談はやめてもらおう。
 何もしていないと言ったろう。
 確かに貴様ら相手に苦労はしないが、おっと失礼。
 それで、何の用件だ? 保護でも必要か?
 ほう、それはまた意気地の無い話だな。
 ああ、判った。 そちらも調べておこう。
 では明日。 その時刻で」

ふうと一息ついてピポとボタンを押し携帯を収める。

「なんとも、来てそうそう尻尾を撒くとは思わなかったわね。
 一体、何をしに来たのよ。 余計な仕事ね」

思った以上にくだらない話だったらしい。 タバコを取り出しスパスパやり始める。 トントンと指でテーブルにリズムを取るようにしながら考え込むこと暫し。 何か思いついたように携帯を取り出し、数回掛けた事の有る相手を選んで呼び出しをかけた。

「あ、マクレミッツです。
 相変わらずお忙しそうですね。
 ランサーは役に立っていますか? それは結構。
 私が動けない分、こき使っていただいて結構ですから。
 あ、はい。 話が早くて助かります。
 実は助けていただきたい事が……はい。
 ありがとうございます。 名前は……・」

暫らくのやり取りのあと、携帯を収める。 先程とは打って変わって機嫌がよさそうだ。 どうやら実の有る話だったのだろう。

「あとは、明日ね」

そう呟いて、バゼットはパートナーの帰りを楽しみに待つのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
by katuragi_k | 2004-10-26 05:09 | SSもどき

――FAKE OUT番外編 ランサーお仕事シリーズ(仮)2

「良いホテルに泊まってやがるな。 ここで間違いないんだな?」

ランサーが最近出来たばかりのホテルを見上げる。 どうもフリーター生活で擦り切れてるのか、最近ブルジョアに敵意を燃やすようになっているらしい。 そんなランサーを呆れ顔で眺めつつ、こちらもこちらで少々怒り調子のバゼットが答える。

「わざわざ番号通知で情報寄越せとか私に行ってくる馬鹿よ。
 コソコソ居場所を偽るような知恵はもってないでしょう」

訂正、どうやら実際はかなりお冠らしい。

――――――――――――――――――――

二人がフロントで数人の名前を出して確認する。 笑う事に全員実名を出して宿泊していた。
流石にビジネスマンを装ってはいたが、6人揃ってスコーンの販売業者とは何の冗談なのだろうとバゼットは暫し頭を抱えた。

「申し訳ありません。 皆様今はお出かけされておられます。
 何でしたらメッセージをお預かりいたしますが」

ホテルのフロントにそういわれて嘘でもないと判断したバゼットは、携帯の番号を伝えて連絡を寄越すようにメッセージを残した。 そしてランサーを促がしてホテルの外に出る。

「六人全員お出かけとはな。 これからどうするんだ?」

ランサーが億劫そうにバゼットにたずねる。

「そう悩む事も無いわ。 連中の目標は三つしかないのよ。
 管理者殿と、教会と、柳洞寺。
 とはいえ聖杯のデータ隠匿を疑ってる連中だから、これは管理者殿の一択と言っていいわね」

バゼットが面白くもなさそうに呟くと、二人はホテル前を後にした。

「さて、あの嬢ちゃんのとこに張り込むのか?」

ランサーが自販機でホット汁粉をふたつ買い、片方をバゼットに投げ渡して自分は旨そうにすする。 バゼットもプルタブを開けて、むわっと漂う甘い匂いにちょっと躊躇したが、恐る恐る口を付けてみる。 ちょっと驚いた風でその後チビチビと飲みだした。 意外と気に入ったのかもしれない。

「そこまでする気にはなれないわね。
 どうせ連中にどうにかできるとは思えないし……。
 最悪動けなくなった連中を引っ立てればいいでしょうから」

ぐっと飲み干したホット汁粉の缶をクシャリと潰し、ゴミ箱めがけて投げ捨てるバゼット。
それを見て、むうと眉をしかめて凄いスピードで飛び去ろうとしていた缶を捕まえるランサー。
捕まえてから、実はそれがスチール缶だったことに気付き、更に眉をしかめる。 バゼットは何をするのかと咎めるようにランサーを睨むが、ランサーが缶専用のゴミ箱に缶を放り込む所を見て恥かしげにうつむく。

「言ってくれればいいでしょう」

うつむいたまま不機嫌そうな声で言うバゼットに、ランサーはスマンスマンと笑って答えた。
ただ、内心スチール缶を一瞬で握りつぶした左の義手に少々ビビッテいたのだが。

「じゃあ、あの嬢ちゃんに一言でも言っとくか?」

「その必要は無いでしょう。 余計な事を言ったらその取っ掛かりで何か請求されるかもしれないから」

ランサーはちょっと酷いことを言ってるかとも思ったが、無いとは言えないと思いなおし納得した。

「じゃあ、ちょっと様子だけ見てくらあ。 バゼットは帰っててくれ」

そう言い置いて途端に姿が消える。 置き去りのバゼットは、やれやれと肩をすくめてタクシーを止めて去るのだった。

―――――――――――――――――――――――――――――――

「お?」

ランサーが遠坂邸に近づくと、遠めにも怪しい男が角から伺っている。 パッと見ひょろりとした黒髪の男だが、魔術師臭いと言うか……魔力の気配に歪んだエリート意識と血筋の良さより濁りが前に出た嫌らしげな風体……かなりランサーの私感が入っているがそんな感じの不審者が居た。

そして、その不審者を伺うこれまた不審な集団。 銀髪ロングの小柄な少女、黒髪ツインテールの少女、少し青みを帯びた黒髪ショートボブの少女。 そろいも揃ってサングラスをかけているのは変装なのだろうか? ランサーはどうした物かと一瞬考え込んだ。 が、結局は放っておくのが面白そうだと思い、気配を消して近くの屋根に上り様子を伺う事にした。

「ねえ、あれって怪しいと思わない?」

「リン……お金に困っていたのは聞いてたよ。 だけど、あんなのに張り付かれるような事になっていたなんて。 もしシロウに迷惑がかかるんだったら」

「ええ!! 姉さん……そうなら早く言ってくれれば」

「なんでっそうなるのよ!!」

ニヤニヤ笑いながらシャレにならない事を言う銀髪少女ことイリヤスフィールと、それに思い切りよく流されて真摯な表情で姉を心配する桜に、がああーーっと突っ込む管理者こと遠坂凛。 監視対象の男がふとふりむいたのを見て慌てて隠れ、声を落としながら再び「何でそうなるのよー!!」と器用に憤っている。

「そういう部分も無いとは言わないけど、今すぐ追い込みかけられるほど困ってないわよ!!
 あれは協会の魔術師よ。
 どうせ、こちらが出した報告を怪しんで何かないかと、おっとり刀でやってきたんでしょ」

「バカよねー。 いまさら何も出て来ないのにねー。 あ、まだセイバーとか居るんだっけ。
 今のセイバー見ても英霊って感じしないから忘れてるけど、あれってアーサー王なのね。
 腹ペコ無職なイソーローのイメージしかないけど……その辺調べられると拙いの? リン」

「イリヤちゃん。 セイバーさんは確かに使い道の無い腹ペコさんだけど、そんな言い方しちゃ駄目。
 先輩に引っ付いてウザイとか思っても、我慢しなくちゃ」

「アンタ達、私が居ない所で私の事どう言ってるか凄く怖いわよ。
 別にセイバーの事は普通に報告してるから、探られても痛くないわよ。
 困るのは寺のアイツとか、士郎の事とか位よ」

「柳洞先輩ですか」

「まあ、アレはほっといてもうまく立ち回ると思うから、士郎よね。
 それはそうとアンタは何でのほほんとこっちに帰ってきてるのよ」

凛がイリヤに不思議そうに聞く。 実際イリヤはついこの間まで一ヶ月ほどアインツベルンの本拠に帰っていたらしい。 それがひょっこり帰ってきて、今では衛宮邸にほぼ入り浸っていると言っていいレベルで出入りしている。

「ワタシはねー。 一応アインツベルンの秘奥だからそのまま残ってると拙いって呼び戻されたの。 
 もう消されるんだろうなーと思ってたら、お爺様が今更それもなとか言われて、
 停齢処置と聖杯の機能を外して寿命の回復までしてくれちゃったの……。
 気味が悪い位の厚遇よね……何か取引があったみたいなんだけど、
 一応生きられるって言う事なんで深くは突っ込まなかったけど。
 あ、ついでに協会の検査関係も済ませてきたから、
 別にワタシから得る物は無いって協会も知ってるから私はフリーの筈なの」

「「へーへーへー」」

「あーなんだかバカにされてる気がするー!!
 いっとくけど、赤ちゃんだって産めるんだからねー!!
 シロウはロリっぽいからワタシだって大丈夫なんだからー!!」

何が大丈夫なんだと突っ込みたい姉妹だったが、微妙なライバルの出現に暫し各々考え込むのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――

「……っぷっくっくっくっくっくくくくくく。 んぉっ!!」

屋根の上で一部始終を眺めていたランサーが、肩を震わせ発作に耐え切れず転がり、英雄にもあるまじき事ながら屋根から落ちそうになった。 見られているとは気がつかない少女達は、監視していた事も忘れて喧々囂々と騒ぎ出す。 おいおいと思いながら見ていたランサーの目から瞬間笑いが消える。 少女達の背後に、例の男が様子を伺いに近づいているのに気がついたのだった。

「ちぃ、気づいてやがらねえ。 ここは手を出すしかねぇか」

ランサーが介入する事に決めた瞬間、目の前で三種類の魔力が弾けた。

―――――――――――――――――――――――――――――――

「赤ちゃんって!! そんなの駄目です。
 先輩は……ブツブツブツブツ」

「アンタねえ!! まだそんなの早い話よ………」

「えー、リンは自分が発育不良だからってそんな事言ってたらサクラに取られちゃうわよ。
 ワタシだってすぐにリンくらい抜いちゃうし。
 サクラは早熟だった分さっさと垂れるんだから覚悟してなさい!!」

「ほーやるって言うのね」

凛の腕に魔力の輝きがともる。

「聖杯じゃなくなったって魔術の能力は負けてないんだからね」

イリヤスフィールの体から銀の魔力がこぼれでる。

「せ、先輩取っちゃ駄目です」

桜の影からどよどよとした闇の気配が漏れ出す。

「おい、お前ら静かに……あーーーっ!!」

様子を見に来た男が凛を見た。 その時発した声がトリガーになった。 驚いた三者各々の魔力が無作為に弾けた。 お互いそれなりの魔力を纏っていた為に被害はそう無かったが、特に何も気構えずにやってきていた男にとっては、それらは十分以上の威力を伴っていた。
悲鳴を上げる暇も無く、惨劇の被害者はくたりと崩れ落ちるのであった。

「これ、どうしようか?」

「同業者だしほっといて良いんじゃないの?」

「えとえと……先輩に知られるのは……」

「「「……・」」」

三者は無言で立ち去る事に決めたらしく、そそくさとそこから離れていった。 後に残ったランサーはその男に若干の同情を向け、女って怖いよなと誰にとも無く同意を求めた。 その後その男を担いだランサーの姿は風に溶けるように消えたのだった。

協会第一陣の回収率1/6

任務継続中。
by katuragi_k | 2004-10-24 05:10 | SSもどき

FAKE_OUT6……考えたら未更新一ヶ月どころじゃないですな。

とりあえず、FAKE_FATEのほうでスルーした感じのお姉さん方を一回りしたつもりですが……。
特にバイヴ・カハの三人……死亡決定キャラだったのにここまで来ちゃって(TT
ライラちゃんの影が薄いよ。

最初はライラちゃんとアリス姉さんとエスさんズだけの話だったのにまあ。
因みにライラちゃんはアサシンじゃなくてアンリ・マユのリミッター代わりでアフラ・マヅダの名前だったりしたのは今ハードディスクあさってて、なんかプロット以前の落書きみたいなのを見つけてびっくりしたり。
今の今まで、思い出しもしなかったです。

因みに坊暴れん坊将軍のモトネタで後藤君ちのマツダさんと言うのが有りまして、後藤君が聖杯戦争始まったところでアフラ・マヅダと契約し、変な話になっていくという……。
全く先を考えてなかったんで何時の間にか暴れん坊将軍になってたんですが。

はあ、いま大分の躁状態です。
そういえば、地震で音信不通になってたゲームのチームの人がネットに復帰してきました。
電話が駄目とか言ってるくせに携帯に繋いでまでゲームしに来る根性がステキです。
しかしまあ、無事で何よりでした。

はあ、もりーあん、メディア、バゼット女史。
書き分け出来てないよう……できるだけ一緒にださないように逃げてたけど今回で致命的に思い知ったり。
あと、アーチャーさんとライダーさんが駄目だったり。
エスさんズ状態になるのは……ちゃんとキャラ立てたいです。
エスさんズはあれで良いんですけど。
一番書きやすいのは、マッハさんとアリスねえ……あとネヴァン&ライラちゃんず。
by katuragi_k | 2004-10-24 04:23 | SSもどき

FAKE_OUT

何とか纏まりそう。
相変わらず生ぬるい話です。
お姉さん話でバトル書くのはバタバタするだけですし。
メディアさん&モリーアンさん話。
でもメディアさんは見てるだけ・・・。
夜中くらいに何とか上げたいな。
by katuragi_k | 2004-10-23 21:58 | SSもどき

地震

震度6強が複数回起きているようです。
さっきまでネトゲしてて地震だーという発言の後、ゲームから落っこちたチームの連中が心配です。
NHKでちょこちょこ情報が出てますが・・・まだ復帰してきませんね。
電話が使えないという話ですが、こういう時は心配でも確認電話は控えたい物です。

何事も無ければ良いのですが。
by katuragi_k | 2004-10-23 18:29 | 雑談

台風一過。

皆さんはご無事ですか?

四国出張で結構大変でした。
周囲で避難あったし。
発生してから、かなりゆっくりしていた23号があれほどでかくなるとは。
暴風圏の大きさを実感してなかったりで、列車の止まる時間とかに大慌てでした。

結局、被害等も死傷者、行方不明者がどんどん数字が増えていくのを見て、やばいなぁと停電の中思ってたりしてました。

いま、やっとこさ大阪に帰ってきたんですけど……確認したら、思った以上に仕事が進んでなかった事に愕然としたり。
スケジュールの進捗報告で胃が痛くなりそうです。

因みに、家の風呂釜が壊れてました(TT
雨避けを物ともしない風雨のお陰で電気系統に水がどっぷり……そのまま電気つけたのでバチンという音と共にお亡くなりになりました。
今はシャワーだけ……ガス屋さんもおおわらわぽくて修理に来るのは明後日。
不便だ。
by katuragi_k | 2004-10-21 19:15 | ゲーム