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カテゴリ:SSもどき( 131 )

22日 覚え

 一応、16日終わりかな。
 何故か、勢いで朝チュン前倒しに、最初はプロのお姉さん云々の筈が、ドナさんに。
 (ちゃんと書けという突込みがありそうで怖い)
 あ、ザック言い訳多いぞという突込みが早速来てる。
 ドナさんの張っちゃ気振りも整理しないと、前の方と矛盾がありそう。
 とにかく16日は詰め込みすぎな気がするので、二部終わったら手を入れる予定&よく見ないと……難産だった。
 ちょっとの間はのんびり迷宮四階へ向かうのと、行き倒れとプロ云々の話で魔術師方面の。 
 残念ながらメガネの人は……。
 あと、レアさんはまだ先。
 なんか、時間的におかしい部分が出てきたので17日目がごっそり先にずれるかも。
 クロスボウに対する騎士側の忌避と神殿での是非の裁定なんぞという話が入るんですが……出てくる人のタイミングがおかしいという拍手で「あ、」と気づいた(w


0-10日目

十一日目
十二日目
十三日目
十四日目
十五日目
十六日目
十七日目
18日目
19日目
by katuragi_k | 2008-10-23 06:28 | SSもどき

WISぽい 2

「まあ、とにかくだ。
 酒場であんなに派手に恥かいたんだ。
 キッチリと話を聞かせて貰おうか?」

 何とか「小治癒」一発掛けられるようになって、ひとここち付いた頃に俺はそう切り出した。

「……判りました。
 でも、私が話せる事はそんなに多く有りません」
「どういうこった?」

 今更それは無いぞとブレイのおっさん。

「突然の事だったんです。
 あの時、地下7階を歩いていたら突然足元が崩れて、気がついたら辺りは真っ暗で」
「おいおい、シュートトラップでダークゾーンに落ちたって?
 まさか、そこでドラゴンが出て来たりとかって話じゃないだろうな?」

 何か聞いたことがあるような話に俺とおっさんが顔を見合わせ、ついでカナタに詰め寄ると二人して問い詰めた。

「っ!?」
「マジかよ……あ、すまん。 続けてくれ」
「いえ、後は皆バラバラに弾き飛ばされて、どうなったか判らないままに恐ろしい唸り声と近くに居た姉の声が聞こえて。
 姉が私に近づくと「あなたは生きなさいと……」
 そのまま転移させられて、気が付いたら迷宮の入り口で気を失っていました。
 皆がどうなったかは判りません。
 でも、ギルドから話を聞いたいくつかのパーティーが地下7階を探してくましたが」
「何も見つからず……か」
「はい。 結局、私は皆を見捨てて逃げたと……大して違いは有りませんが。
 でも、私は嘘は言っていません!!
 お願いです!! 私をこのパーティから外さないでください。
 私はどうしても地下7階へもう一度行かなければならないんです。
 お願いします。 他に私を受け入れてくれる所は……」
「まあ、無いんだろううなあ。
 しかし、よくも俺らみたいなのにしてもギルドが繋ぎをつけたなぁ。
 普通なら受け継ぎもしないと思うんだが」
「あ、はい。
 
by katuragi_k | 2008-08-17 22:11 | SSもどき

最近の物のメニュー

WIZもどき? たたき台 

 名前入れて、話し細かく
 A/B/C




覚え 中二病 A/B/C

これになんか感想頂いた件「わしもそう思う」ナノハ世界の設定考えてるときの沸いた話で、BCで、なのは分を抜いた頭出しになってます。 そして続かない。


――ミッシングウォー(リハビリ、ブレイクエイジパクリ+ネタ)

1、A / B / C / 



――幻想入りテスト

 1、刷り込み 0話 


A とか言ってて一段落してるな……あと、YUKINOVELのタグそのまんまコピーとかしてるんで、間の開き方がおかしいです。
 そのうち直す。

 2、0.1話  B

B ロック中


 10、 1話 A /

 これは叩き台で書いたやつそのままなので、ニコ動に上げたやつとは大分違います。
 大体、文章飛んでたりですし。
 もし見れるなら、"”316人目の幻想入り"で探して見てやってください。

 11、 2話 A B C

 なんか、音やら絵を使うなら描写は減らすべきと言われたので、大雑把に書いていってみる事にする。
by katuragi_k | 2008-08-17 00:54 | SSもどき

WIZぽい 名前入れて改定中 1

―――光だ。

 そう誰かの呟きを聞いた。
 もしかすると俺自身の呟きだったのか。
 だが、どうでも良い事だ。
 その時は、みな同じ事を考えていたろうさ。
 しかし、何でこんな目に……神さんよ、俺がなんかしたか?


---WIZぽい(ソードスピリット)


「おいザックよ!!
 どうして俺らはこんな儲けも無しにボロボロになってるんだ?
 ええ!!」

 俺達がへたり込みそうになる体を引きずって、馴染みの酒場で部屋を借りて、崩れ落ちるように一息ついてしばらく、呪い師のブレイが激昂した。

「俺に当たるなよ、今回は俺らの判断ミスもデカイ原因だってのはおっさんも判ってんだろ。
 カナタの実力を読み違えたのを棚に上げたり、最近上手く行ってたからって油断してた自分らを認めないって事は、次に死ぬ羽目に繋がるって事だぜ。
 儲けが少ない位で済んで良かったじゃねえか」
「ちっ」

 ブレイのおっさんは納得いかないようだったが、元よりそんなに怒りが持続するタイプじゃない、吐き出すだけ吐き出して一応は落ち着いたようだ。
 厳つい見かけと違い、普段は感情を表に出すことは少ないのだが、今回のことは余程に堪えたのだろう。
 そんな俺達二人のやり取りを見て、じっと部屋の隅に蹲っていたもう一人のメンバーが、座り込んだまま両の手と額を音が出るほどの勢いで床にこすり付けた。

「おい、イキナリどうした」
「すみません」
「そんなもん流行らねえ、頭上げろ」
「すみません」

 まだ、顔に付いた汚れを落としてもいない刀使いの女、カナタがブレイと俺に向かって頭を下げ続ける。
 気分悪げにブレイが顔を上げるように促すが、カナタは「すみません」と繰り返す。
 俺は拙いと思ったが、仲裁間に合わず、いったん落ち着いたブレイの怒りがぶり返した。

「すみませんじゃねーや。
 俺らは器用貧乏の掃除屋だがな、それでも五階に届きもせずに引き返すなんてこたなかったんだ。
 お前さんがあんなふうにトチ狂った理由、きっちり聞かせてもらおうか!!」

 カナタはびくりと身を震わせるが、顔を伏せたままか細い声で「すみません」と繰り返した。
 ブレイは「話にならねぇ」とはき捨て、部屋の寝床に転がった。
 俺は頭を掻き毟ると、似合わないとは思いつつ、顔をぐしゃぐしゃに涙で濡らしながら未だ「すみません」と呟く刀使いの女に歩み寄り、一瞬躊躇いつつも手を伸ばして肩をつかみ、静かに引き起こした。

「なあ、あんまり気にするなとは言えんが、とりあえず汗を流してくるといい。
 そんな格好のままじゃ、気も滅入るってもんだろう?
 俺らはここの下で飯でも食ってるから」

 俺はテーブルにある濡らした手拭を手に取ると、汚れて血の気は失せているものの、端正な美貌に少し怯えた子供のような表情を浮かべたカナタの顔を拭って部屋から送り出した。
 しょぼんと項垂れたまま部屋から出て行ったカナタを見送ると、一つため息をついて備えつけの椅子に座った。

「おい、期待の新戦力がガッカリだったのは判るがな。
 あんまり当たってやるなよ。
 まだガキじゃねえか」

 俺は不貞寝している呪い師に向かって、温んだワインの入った水袋を投げ渡した。

「そうは言うがな……」

 こちらを見ずに水袋を受け取ったブレイのおっさんは、自分でも思うところがあるのかばつの悪そうな顔をして、温くて不味くなったワインをあおった。

「さ、機嫌直して飯でも食いにいこうや。 今日は家に嫁さん居ないんだろ」
「ああ、実家に帰ってるよ。 師匠の調子が悪いとかでな」

 おっさんは既婚者だ。
 因みに嫁さんの実家は学者の家で、おっさんは弟子入りした師匠の娘を嫁に貰ったという話だが、あの尻に敷かれっぷりは師匠云々と言う部分もあるんだろう。

「じゃあ、遠慮なく飲めるって訳だな」
「まあ、そうだな」

 俺達は階下の酒場へと繰り出した。
 酒場は、夜の時間になって大盛況だった。
 俺は隅のテーブル席に座って、忙しそうにしているマスターに毎度のごとくの注文をした。

「マスター、なんか適当に飯と酒」

 下げ物のついでにこちらへやってきたマスターがこちらを見てにやりと笑った。

「さっきは死にそうな顔をしてたが、意外と大丈夫そうだな」
「うるさいよ。 そんな簡単に死んでたまるか」

 マスターは一旦裏手に下がると、酒瓶とジョッキを持って戻ってきた。

「まあ、無事でよかったが。 あんな様子は久々だったな」
「ああ、ここまで酷い目にあったのは久しぶりだな」

 ブレイのおっさんがボソリと零した。

「俺と組んでからは八階に罠で落っこちた時以来か?」
「だな」

 俺ことザック=バランと呪い師のおっさんブレイ=コーは、かれこれもう三年程組んで迷宮に潜っている。
 俺は性根のチキンさ加減のせいで、ギリギリの綱渡りをしながら先へ先へと急ぐのが気に食わず、組んでいたパーティの連中がどう考えても実力不足だと思えるのに、先に進む事を決めたのを機に外れてフリーになっていた。
 おっさんは師匠の研究で入用になった品物を迷宮で手に入れようとしたが、人を雇う金がなく自分で潜る羽目になっていた。
 話を聞いた酒場のマスターが俺とおっさんを引き合わせたのは、天の配剤と言うやつだったのかもしれない。
 俺は力を得る為におっさんに魔術やら知識を習いつつ、おっさんには迷宮での歩き方やら死なないコツを教え、おっさんの探し物や調べ物に付き合いつつ、無理のない場所でじっくりと経験を積んだ。
 ぶっちゃけると相当余分な回り道をしているのだが、他にメンバーを入れるつりもなかったので、まあ必要だったのだろうと思う。
 結局、何かの依頼でもなければ二人だけで潜り続け、この三年でパーティーとしては古参で実力は中の上と言う位置にいる……二人パーティーなんていうのは俺達だけだが。
 そんな、昔の話をしながらちびちび飲んでいると、酒場の入り口で騒ぎがおきた。

「よう、仲間を見捨てたお嬢さんがこんな所で何をしてるんですかー?
 一緒に潜ってくれるお人好しは見つかったんですかー?
 なんだったら、優しい俺達が付き合ってやってもいいんだぜー。
 ついでにいい事しようぜー」

 癇にさわる調子っぱずれの間延びした声で、酔っ払いが誰かに絡んでいた。
 見ると四-五人の集まり、見たことのある顔が二つほど……たしか最近流れてきた連中で、そこそこ名の売れだした奴らだったか? 顔を合わした事は無かったが、あまり行儀のいい連中ではなかったらしい。
 何時もなら余程の事がない限り、ギルドの憲兵辺りに任せてしまうのだが……。

「あの馬鹿、何してやがる」

 おっさんのボヤキ通り、絡まれてるのは見知った顔だった。
 風呂上りか上気した顔が色っぽくなってるせいで、虐めてオーラが倍化されてるようだった。
 仕方なしに立ち上がり、俺は酔っ払いに、とっ捕まっているカナタに近づいていった。
 連中はこちらに気がついたようで、俺に目を向けてきた。
 カナタは俺を見てうれしそうな顔をしたが、迷惑を掛けたと思ったのか一転して沈んだ表情になった。

「なあ、兄ちゃん達よ。
 その子は俺の知り合いなんでな、放してやっちゃくれないか?」

 俺は友好的に連中に話しかけると、カナタにこっちにおいでと促した。
 連中は俺のお願いに一瞬あっけにとられたように顔を見合わせ、次の瞬間大笑いし始めた。 その不意をついてカナタは俺の方へやってきたが、連中はそれを気にする事もなくしばらく笑い続けていた。

「あの、すいません」

 相変わらず、謝ってばっかりだったが、美人に頼られ縋り付かれるというのは悪い気分ではなかった。 それにこう、腰を抱いてると妙にしっくりくるというか、収まりがいいというか……なんだかよくわからない感じがした。 いつも腰に下げてる得物を持ってないのに不安を感じないというか……気が大きくなってるのか?
 いや、それはともかく、さっきの連中の言葉に確認しておかないといけない事がある。

「なあ、連中の仲間を見捨てたとかって話は本当か?」

 俺の言葉にカナタが一段小さくなる。 俺の上着を握り締めた拳が真っ白になるほどに力が入っている。 俺は少し待ったが、結局カナタからは「すみません」という言葉しか帰ってこなかった。 俺は仕方なく、相変わらずニヤニヤしている連中に視線を向けた。
 連中は俺が水を向けるまでも無く、あちらから知りたい事を教えてくれた。

「先週、俺たちとどちらが先に地下八階へ辿り着くかっていう、最近じゃソコソコ名の売れたパーティが全滅したんだよ。 そのお嬢さん一人残してな」

 おいおい、ギルドの紹介の話ではそんなこと一切出てこなかったぞ。

「それも、死にかけを拾われたってんなら話も判るがよ、よりによってその嬢ちゃん仲間放り出して飛翔の護符使って逃げ出したってんだからな。
 そんなの引き取るなんて、あんたどんだけ人が良いんだよ」

 連中はさらに大爆笑。
 流石に俺も言葉が無かった。
 パーティって奴を組むとなると、他人同士で命を預けあう事になる。
 ゆえにそれなり以上の信頼関係ってものが無ければやっていけない。
 そんなわけで、迷宮に潜る連中が俺も含めて守らなければいけない暗黙の了解というものが存在する。
 それを守れないということは、信用されないということで、誰かと組むということが出来なくなる。
 だから、どんな奴でも最低限の事は守るのだ。
 大雑把に言うと二つ。
 ・仲間を見捨てない。
 ・迷宮で救いを求められたら出来る限り、力を貸す。
 出来る範囲というのが曲者だが、いつか自分がという時の為に、どんなやくざな奴でも気にする大原則だ。
 それをこのカナタが破ったというのなら、確かに俺とおっさんは知らずとはいえ、問題のある存在を、ギルドの言うままにパーティに加えたお人よしということになる。
 それで、今日みたいな目にあってるとなれば、笑いも出てこない。

「おい、今の話は本当か?」
「……」

 カナタの言葉は無い。

「おいおい、本当に知らずに引っ張り込んでたのか?」

 連中の笑いがやんだ。

「幾らなんでも気の毒すぎるぜ」

 連中の呆れたような、哀れみを感じさせる声にカナタが激発した。
 俺を突き飛ばすようにして離れると、握り締めた拳を振り上げ、連中に向かって叫びながら向かっていった。
 しかし、同じ前衛職で同レベルの相手にそんな状態で向かっていってどうなるものでもなく、連中のうちの一人がニヤリと笑ってカナタを迎え撃った。
 カナタの振り上げた拳を軽くすかし、そのまま足先を引っ掛けて突き飛ばす。
 倒れながら、地に手をついて即座に起き上がり、また向かっていく。
 その時の叫びは「私だってあそこで死ぬつもりで居た」そう言っているように聞こえた。
 そして、その怒り、殺気に反応したのか、遊び半分で居た連中の中から、リーダー格だろう男が一歩前に出、カナタとケリをつけるべく正対し、腰を落とした。

「ありゃ、少々出来が違うな」

 いつの間にかブレイのおっさんが俺の背後に立って、カナタと男を眺めていた。

「判ってんなら、止めろよな」
「おいおい、おりゃもう体ガタガタなんだよ」

 首をポキポキ鳴らすおっさんにムカついたが、しょうがない。
 カナタが一歩踏み出す。
 男が拳を引く。
 俺は手持ちの魔術からたまたま使いそびれた「革肌」「閃き」「瞬き転移」を準備後即起動して、カナタと男の間に割り込んだ。






「イテェ」

 俺は酒場の二階で呻いていた。

「すみません、すみません」

 カナタが濡れた布巾を絞りながら、俺の紫色に変わった顔面をなでる。

「いい顔になったなあ」

 ブレイのおっさんが笑いながら、俺の顔を魚に酒を飲んでいる。
 さっきの喧嘩、割り込んで両者の拳を受け止めることには成功した……顔で。
 無駄にクリーンヒットした二人の拳が俺の意識を断ち切る寸前、両者の顔を一瞥し、男には「色々聞かせてもらったが、後はこちらの話だ。 スマンが引いてくれ」と、カナタには「キッチリ聞かせて貰うからな」とカッコ付けた所で記憶が途切れている。

「なあ、「気休めの治癒」でもいいから無いのかよ」
「無いな。 大体玉数はお前の方が多いだろう。 俺に神術のストックは期待するな」
「俺の気力はさっきので尽きた」
「なら諦めろ」

 うぐう。

「あの「小治癒」のポーションなら」
「「勿体無いわ!!」」

 カナタが荷物から引っ張り出した薬ビンに俺たち二人で突っ込んだ。
by katuragi_k | 2008-08-15 07:34 | SSもどき

とりあえずイメージ(WIZぽい)名前とかなしで たたき台

―――光だ。

 そう誰かの呟きを聞いた。
 もしかすると俺自身の呟きだったのかもしれない。
 だがどうでも良い事だ。
 その時は、みな同じ事を考えていたはずだから。
 しかし、何でこんな目に……神様、俺がなんかしましたか?


「だーーー!!
 何でこんな浅い階で全滅の憂き目にあってるんだよ!!」

 酒場で部屋を借りて一息つくと呪い師の奴が激昂した。

「ごめんなさい!!」

 まだ、顔に付いた汚れを落としてもいない刀使いの女が呪い師に向かって頭を下げていた。

「ごめんじゃねーよ。
 俺らは器用貧乏の稼ぎ屋だがな、それでも五階に届きもせずに、
 引き返す羽目になるとは思わなかったぜ!!」

 稼ぎが出るどころじゃねーよと呪い師の奴がはき捨て部屋の寝床に転がった。
 俺は頭を掻き毟ると、似合わないとは思いつつ、刀使いの女に声を掛けた。

「なあ、あんた。
 あんまり気にするなとは言えんが、とりあえず汗を流してくるといい。
 そんな格好のままじゃ、気も滅入るってもんだろう?」

 俺はテーブルにある濡らした手拭を手に取ると、女の顔を拭って部屋から送り出した。
 しょぼんと項垂れたまま部屋から出て行った娘を見送ると一つため息をついて備えつけの椅子に座った。

「おい、期待の新戦力がガッカリだったのは判るがな。
 あんまり当たってやるなよ。
 まだガキじゃねえか」

 俺は不貞寝している呪い師の奴に、温んだワインの入った水袋を投げ渡した。

「そうは言うがな……」

 こちらを見ずに水袋を受け取った呪い師の奴は、自分でも思うところがあるのかばつの悪そうな顔をして、温くて不味くなったワインをあおった。
 俺とこの呪い師の奴はかれこれ三年程組んでいる。
 有り余る才能やら熱意。
 名誉への渇望やら成り上がる執念。
 そんな言葉と縁遠い俺たちは俗に「稼ぎ屋」または「漁り屋」といわれている。
 比較的安全とされている迷宮上層部はすでに探索されつくしているが、化けもん連中はどこからともなく沸いてくる。
 そういう奴らを相手にちまちまと稼いでいるのが俺たち「稼ぎ屋」で、迷宮の先へ進み、一攫千金を夢見る連中からは腰抜けと白い目を向けられている。
 だがまあ、そういう連中は大半が一年と持たずに消えていく。
 選りすぐりの極一部だけが、いくつもの試練を乗り越え伝説に名を連ねるような偉業と力を兼ね備えていく。
 しかし、そんな連中でもちょっとした不運で消えていくのが、この迷宮の恐ろしい所だ。
 大体にして、この十年近くで新しく記された地図は地下13階の入り口からの数ブロック。
 今までに記されている一フロアの大きさから見て、その広さは絶望的なまでに僅かでしかない。
 その上、今の所の最深部とされている地下13階に到達できるパーティは僅かに3隊。
 そのうちの二隊は王室の近衛に召抱えられてしまって、迷宮に潜る事は稀になっている。
 だがまあ迷宮に魔王が潜んでいるとか、突破しないと世界が滅ぶなんて事はない。
 単にここに迷宮があって、二百年ほど前に地震で入り口が現れてから、湧いて来る化け物を退治するための砦が出来て、化け物連中が金を持っていたり、有用なアイテムや資源になったりする事が判って、その富を目当てに一山当てようとする連中が集まっているうちに村になり、色々と人が集まってくるうちに町になり、王国の一領となったのだ。
 今では出稼ぎやら、腕試し、仕官の為の登竜門として開放されている。
 俺と呪い師の奴は出稼ぎ組だった(俺は口減らし)。
 俺は性根のチキンさ加減のせいで評価が伸びず、組んでいたパーティの連中が先に進むのを機に外れてフリーになった。
 そいつらはその直後に新メンバーを加えて先に進んだが、全滅したらしい。
 死体も見つからず復活できる面子もいなかったようだ。
 そんな事もあって、俺も一度は貯めた金で土地でも買って引退も考えた。
 しかし、結局他に稼ぐ能もない為にずるずると迷宮漁りを続けていた。
 あちこちのパーティに参加しては外れの繰り返しで数年たったあと、ギルドの紹介で呪い師の奴と出会った。
 奴も似たような経緯でフリーになっていた。
 俺も奴も根っからのチキンというか石橋を叩きまくっても不安があると渡らない性格のせいで、評価はぽっと出の駆け出しと変わらないレベルだったが、貯めに貯めた器用貧乏というしかないスキルの量はちょっとしたもんだった。
 まあどんな奴でも地下3階まで一人で行ってウロウロするのは、余程の暇な高ランクか頭のネジが飛んだ奴のする行為だったが、俺と奴はそれを普通に行っていた。
 普通は飯代、薬代、武器鎧の修繕、魔法や前衛が必要ならそいつらを雇う金、その他もろもろのコストを考えれば、仲間を集めてコストを抑えてもっと先へ進まないと割に合わない。
 だが、俺達は駆け出し剣士並みの戦闘力と弾数だけは多い魔術神術、そこそこ以上の盗賊の技術を持っていた。(不安を感じて覚えられるものを覚えていたらそうなったのだ)
 だから全部自前で潜る事が出来たし、不安があれば自分だけの判断でさっさと帰ることも出来たから気は楽だったな。
 一応、ギルドの紹介は申請していたが、剣士、神術師、呪い師、盗賊と大雑把なくくりの全部に登録していた上にそれぞれ単体の評価は低い、そのくせ取り分はボッタ金額にしていたからひらいに来るパーティーは居なかった。
 だから、呪い師の奴が会いに来た時は何の間違いかと思ったもんだった。
 それから三年、奴とのコンビを組んでの探索は思った以上の成果をもたらした。
 単純に火力が倍になっただけではない。
 以前は傷を負えば逃げてから治療をしていたが、戦闘中に神術が飛んでくる。
 傷が治れば前衛を交代して魔術を撃ったりも出来る。
 パーティ組んでるやつらからすれば当たり前のことだったが、そんな事は数年ぶりのことで忘れていた。
 それも弾数は並みの連中の二倍から三倍、壺を押さえたように実用どの高いものばかり覚えている。
 そして微妙にスキルの分野が違うために、俺はアイテムの鑑定能力と範囲系の魔術を、奴は中程度の盗賊の技能と防御系神術を得ることが出来た。
 これらの事があって、更にコストが減り、迷宮に潜る時間も増えたことで俺達のレベルもこれまでとは違う速度で上がっていった。
 それでも特化して覚えることもなく、相変わらず色々と手を出して居るので専門職の連中よりは遅かったが、たった二人で地下8階まで行く事があるといえば、どれだけの人間が信じるだろう。
 まあ、人に言えないような戦い方をしているので、卑怯者だとか言われて騎士連中や神術使いには嫌われて居るが……。(それでも神術が使えるということは行いを認めてくれている神が居るということなんだがな。 因みに俺の信じてる神は中立の職人の神、呪い師の奴は旅と見聞の神だとか)
 そんなこんなで装備は一流半、実力は二流、胡散臭さは超一流という評判が板に付いた今日この頃だった。
 装備が一流半というのはいろいろと制約があるからで、掛かった金は一流以上だが、見た目に俺がいきがって長剣下げてる盗賊。 呪い師の奴が、何か勘違いして刀提げてる司教っぽい格好にしかみえない。 ざっと言うとレザーキャップ(祝福つき)、ミスリルチェイン(祝福+火炎耐性)、レザーグローブ(加護つき)、スモールシールド(祝福つき)、チェイングリーブ(静音、軽量化、祝福つき)、ハードブーツ(ミスリル補強つき、軽量化)、ロングソード(軽量化、魔術付加)、手を掛けられるものは掛け捲りになっている。 ぶっちゃけこれだけやっても、並みの戦士装備のフル装備くらいなもんだが、不意打ちやら魔術神術に影響ないようにするといろいろ難しいのだ。 因みに呪い師の奴は、ミスリルチェインが軽量化と加護つけたブレストプレートになり、グリーブがミスリルになって、盾を持たない。(このあたりはバランスと趣味だ)

 そんな俺達だが新しいメンバーを入れることは稀だったが皆無ではなかった。
 主にギルドからの押し付けに近い依頼の為だったりするが。
 例えば、迷宮の調査に付き合わされたり、死体探し+回収やらの護衛だったり、頭でっかちのエリート様に迷宮のいろはを叩き込むとかするわけだ。
 だからギルドの紹介状を持った刀使いの娘が俺たちに会いに来たときも何かの依頼かと思ったのだが……まさか俺達の求人に応じようとする奴が居るとは。
 求人の条件はそう厳しいものではないと思うが、何がしかの道を究めようとする連中にはとっては結構酷い物だと思うし、なんせ俺達の評判は余り褒められたものじゃない。(育つまで待ってやるが器用貧乏になって貰うぞ、うちの流儀で背後から気配消して範囲呪文ぶっ放すのは基本だぞ、化け物相手に遠慮して飯が食えるかというようなもの)
 そんな求人に乗ってくる奴はこの三年で一人も居なかった。
 求人の更新もしてなかったから、俺達もすっかり忘れていた。
 そこに現れたのが、結構な装備を持った刀使い。
 騎士連中と違って、攻めよりの技能を持った刀使いはこの地方では余り見ない。
 居るとすれば東の方の国からやって来る連中か、この土地に住み着いた連中から技を継いだ連中ということになる。
 そんな連中なら、他にも引く手はあるだろうにわざわざうちにやって来るとは、何かあると考えるのが正解だったのだが……。
 わざわざ俺たちを選んだ事へのちょっとした嬉しさと、刀使いへの幻想と装備の良さ、それに若い娘だったこと(しかも美人だ)、それに自分達の堅実さに自惚れが入っていた事で刀使いの女の能力を見誤ってしまったらしい。
 それでも最初は軽く流そうとしていたが、意外とよく動くのを見ていったん戻り、少し本格的に潜る事にしたのが間違いだった。
 思えば、よく動いていたというよりもテンパッて突っ込んでいたのが、なまじ装備が良いせいで、上手くいっているように見えてしまっていたのだった。
 それが決定的に拙い事になったのは地下四階で、珍しくワームに出会ったときだった。

「ん?」

 俺は先の犬頭の連中を片付けた後始末と戦利品の仕分けをしている時に、でかい物を引きずるようなあまり聞きたくない音を聞いた。
 音の主は恐らくワームかヒドラ。
 こんな浅い階層に出るのは珍しかったが、まあない事もない。
 こいつらは固い上に再生持ちで倒すのに時間がかかり、稼ぎにもあまり貢献しない。
 しかもこいつらを相手しているうちによその奴が寄って来たりすると最悪なので、基本的にやり過ごすのが俺達の流儀だった。

「おい、気づいたか?」

 呪い師の奴も気づいたのか、俺に向かってどうする? と視線を向けてきた。
 俺達だけなら気配を消してやり過ごせるが、刀使いの女にそれをやれるかと言うのは少々酷だ。
 だからさっさと此処を立ち去って、回り道をして避けることにした。

「すまんが休憩は終わりだ、ちょっと拙い奴が近くに居る。
 相手をしたくないんで、移動する」

 俺の言葉に「は、はい」と答えて刀使いの女は立ち上がった。
 俺たちは道を少し戻り、遠回りになるルートを辿り直していった。
 そして、壁の向こうで引きずる音が離れて行ったのを確認すると、地下五階へむかう階段へと足を向けた。
 そして、階段への最後の角を曲がろうとして、妙な息遣いに気づいた。
 俺が先行してそっと覗くと、そこには頭を抱えたくなる光景。

「今日は厄日か?」

 呟く俺に続いて呪い師の奴も頭を出して覗き、掌で顔を覆った。
 其処にはワームが寝ていた。
 気配が薄いせいで気付くのが遅れたのは痛かった。
 上手くすれば脇を通り抜けるのは難しくないだろうが、今は不安要素が居る。
 下手うってワームに前後を挟まれたいとは思わない。

「どうする?」
「進むか退くかってなら、帰るべきだろうな」

 俺は呪い師と顔を見合わせ、ついで刀使いの女を見た。
 キョトンとする女に、とりあえず寝てるワームを見せようとしたのだが、それが間違いだった。
 まず異変に気付いたのは俺だった。
 女の顔が蒼白になっていて、息遣いが浅く早くなっていた。
 刀を握る手には異様な力が籠められていてカタカタと震えていた。
 俺がいやな予感に女の肩へ手を伸ばそうとした時、呪い師の奴が真剣な顔でこちらに合図を送ってきた。
 何かと振り向くと、じっと何かに集中している呪い師の顔。
 どうやら遠視の魔術で視線を飛ばしているようだった。

「どうした?」
「拙いぞ。
 ちょっと気になって視たんだが……。
 どうやら、さっきやり過ごした奴が引き返してきたらしい。
 このままだと挟まれ「うわぁああああああああああ」なっ!?」

 突然の絶叫に俺も集中を途切れさせられた呪い師の奴も事態の把握が遅れた。
 我に返ると刀使いの女が寝ているワームに突撃しているところだった。
 流石にワームも身じろぎして目を覚ましたようだった。

「な、何してやがる!!」

 呪い師の声が動転しているのも仕方がない。
 俺に出来るのはとりあえず三人の防御を固める神術を唱えて覚悟を固めることだけだった。
 呪い師は三人の武器に魔力を付加すると得物を手にした。
 その顔にも焦りと覚悟が浮かんでいた。


 結果、やはりワーム二体に挟まれ、魔術神術使い果たすまであと少しのところで何とか片付けることが出来た。
 しかし、その後自失状態に陥った刀使いを担いで地上へ向かう道のりは地獄だった。
 血の匂いに引かれた化け物どもがワンサカ寄って来るのを掻き分けるようにして強引に突破した。
 何とか地上の光を見たときには体中の力が抜けて、しばらくの間は身動きが取れなかったほどだった。






「あの」

 刀使いの女が部屋の入り口からそっと顔を出してこちらを伺っていた。
 どうやら汚れを落として帰ってきたらしい。
 少しは落ち着いたのか血の気は戻っている。
 オドオドと部屋に入ってくると俺たちに向かって再び頭を下げた。
 そして、ポツポツト話し出した。

「私、ついこの間まで姉の参加していたパーティに居ました」
「姉さん?」
「それじゃあ、何でまた俺らみたいな……まてよ?
 この間、有望視されてた若手のパーティが一人残してやられたんだったか」

 呪い師の奴の言葉に刀使いの女は頷いた。

「私たちのパーティは地下七階でワイバーンとポイズンワームに挟まれたんです。
 たまたま通りかかった別パーティのおかげで注意がそれた隙に飛翔の護符で逃げる事が出来ましたが……私は姉の遺体だけしか」

「連れ帰る事ができなかったってことか……」

 確かにそれなら他のパーティに入ることは難しい。
 どんな事情があってもパーティを組んだもの同士で守るべき仁義ってもんがある。
 それを破ってしまうと、ほとぼりが冷めるまではどこのパーティでも敬遠される。
 仲間を見捨てて逃走ってのは結構なもんで、俺たちでもやったことは無い。
 パーティーとして動く為の最低限度の原則だからだが……。

「ってーことは、ギルドの紹介の野郎!!
 美人に絆されて断りきれずにこっちに振ってきやがったのか!!」
「なんてこった」

 エキサイトする呪い師と力の抜けた俺だった。

「で、その姉さんってのは?」
「私達にも幾らかの蓄えはあったので、寺院に掛け合って復活の儀式はやって頂いたのですが……駄目でした」
「それは気の毒にとしか」

 寺院での蘇生は余程の事がない限りは失敗しないが、万が一失敗すると次の蘇生に成功の目はなくなる。
 そうなると、一番確かなのは復活の護符を使うことだが、これは蘇生の儀式が数万程度の金が必要なのに対し、捨て値で百五十万で売れる代物な上、伝説級のエリートさん達を蘇生させる為に国が買い上げているので、手に入れる方法はまず自分で見つけるしかない。
 今までに見つかった場所で一番浅い所でも地下八階。
 パーティに入る事が出来ないこの娘にとっては、俺たちしか選択肢が無かったって所か。

「で、お前さんはワームを見て挟まれるとか聞いてトチ狂ったわけだが。
 少なくとも、今回の事はギルドに報告する。
 重大な事を伝えなかった斡旋所の野郎には何かしらの代償は支払って貰うとして、
 お前さんはどうしたもんかな」

 ため息つきつつ顎をさする呪い師の奴が、刀使いの女に困り顔でもう一つため息。

「弱いのは鍛えりゃ良いけど、
 いつ弾けるか判らないトラップみたいなもん抱えるのはなぁ……」

 俺も頭を抱えた。
 ぶっちゃけ、二人でやってる方が稼ぎもいいし安全だ。
 大体、護符が見つかったとして、俺たちの取り分の百万とかどうするつもりなんだか。
 俺達が二人とも言葉無く黙り込んでしまうと、刀使いの女は何か意を決したような表情で立ち上がると、やにわに上着を脱いで肌をさらし「わ、私を好きにしてくれて構いません。 ですから」とか言い始めた。

「勘弁してくれ、そんな事したら女房に殺される。
 ただでさえ評判が悪くて肩身が狭いとか愚痴られてるのに」

 実は恐妻家の呪い師が身を震わせて刀使いの女から視線を外すと、女は俺に向かって一歩踏み出してきた。
 俺は結婚してないし、付き合いも酒場で馴染みの子が居るくらいで、色々たまってきたら娼館にも行くが、これでも恋愛という奴には少しは夢を持っている。
 この機会でうんとか言ってしまうと、何か無くしてしまいそうだ。

「ちょ、ちょっと落ち着け。
 ていうか、服着てくれ。
 そんな格好されてると落ち着いて話も出来ない」

 俺は視線をそらしながら、女に服を着させると肘掛に座らせて、余ったワインを押し付けた。
 そして呪い師に助けを求めようとしたら、奴は戦利品の鑑定を始めてそっぽを向きやがったのだった。

「まあ、今回は様子を見るさ。
 一回受け入れてほっぽり出すのもあれだしな。
 当面は浅い所で鍛えるさ。
 焦りは禁物、うちのやり方に慣れてもらう。
 おい、それで良いか?」
「……」

 最後に呪い師の奴に確認を取ったが、奴さん何か固まってしまって返事が無かった。

「おーい、どうした?」
「おいおい、マジかよ」
「どうしたんですか?」

 奴は何かを手に持って身を震わせていた。
 こちらを向いた顔は泣き笑いのようで、引き攣った物になっていた。

「は、はは、神様って奴が冗談が好きだとしたら、相当趣味の悪い部類なんだな」
「おい、一体何がどうしたんだよ」
「これを見ろよ。 一見、幸運の護符だ」

 こちらに見せ付ける物には見覚えがある。
 一度こちらの攻撃を身代わりにして消える幸運の護符という奴で、割とポピュラーな代物だが、それがどうしたというのだろうか。

「だがな、こいつを引っぺがすと」

 奴は表の包みを破ると中から銀のプレート状の何かが出てきた。

「どういう偽装かわからんが、こんなもんが二つ混じっていた。
 こいつは俺の目が確かなら……」
「確かなら?」
「復活のゴフッ、護符だ」
「「ええっ!!!」」
「まさか、四階程度で嘘だろ」
「ふ、二つも?」

 俺と刀使いの女が呆れた素っ頓狂な声を上げた。

「だが、事実だ。
 まあ、確認するには使ってみるしかないわけだが……下手に魔術院で鑑定して貰おうとしたらボッタくられるか、最悪召し上げだからな。
 呪いの方は全く感じないから、間違いでも動かないだけですむ」
「じゃあ」
「身近な死人って居ねえからな。
 おい、良いよな、お前が面倒見るっつったんだしな」

 おいおい、顔を真っ赤にして何言ってんだ。

「おっさんが照れても可愛くないぞ」
「やかましいっ」
「じゃあ、決まりだ。
 一枚は試しに使う。
 おまえさんの姉さんとやらは、どこに安置されてるんだ?」
「ちょ、ちょっと待っててください。
 すぐに連れて来ますから」

 そう言って慌しく出て行った女の背に「連れて来るってこんなとこに遺体持ってこ……」言いかけて諦めた。
 仕方なく、そのまま待っていると、余ったワインを二人で飲み終える頃、女は帰ってきた。
 だが、遺体らしいものは無く、大降りの騎士剣を一振り鞘ごと担いできただけだった。

「えーと、姉さん灰になってんのか?」
「いえ、此処に」

 そう言って指し示す騎士剣。

「いや、そう言われて……も……って、まさか剣精?
 それに姉妹って、あんたもか?」

 口をあんぐりとあける呪い師。
 残念ながら、俺は剣精って寡聞にして知らないのだが。
 俺の視線を読み取ったか、呪い師の奴が興奮気味にまくし立てた。
 曰く「剣の精霊であり、魂を持った剣が人身を得た物。 自らを鍛え強さを増すという伝説の類。 手にした者は王にもなれるというが……あんな竜にてんぱって暴れる奴が?」最後疑問形にされても俺知らないから困るって。
 とにかく女に向かって本当かという意味の視線を送ると、女はあわてて手を振って「そんな大した物じゃないです。姉さんはともかく私はまだ駆け出しの下っ端と代わりません」と力説した。

「まあいいや……」
「剣精の死体ってやっぱ剣なのか」とか呟いてる呪い師も一先ず置いておくことにする。

 俺は話を閉めて、復活の護符を手に取った。
 使い方自体は他の護符と変わらないはずだ。
 目標に向けて、開放と念じるだけ。
 ただ、折れた剣に向かって護符使うのはなんか変な感じがする。

「えい、開放!!」

 念じると護符が銀から土色に変わり砕けた。
 そして、砕けた剣が組み合わさり、元の姿を取り戻すと一人でに立ち上がり、一瞬後には完全武装した騎士姿の女が立っていた。

「うわ、マジか……」
「すげえけどなんか夢が現実くさくなった」

 呆然と呟く俺たちを置いて、刀使いの女は騎士姿の女に駆け寄り、泣きながら抱きついていた。
 騎士姿の女は何事か把握できていなかったようだが、妹の姿を見ると安心したのか、刀使いの女を抱き返していた。
 しばらく、俺と呪い師の奴は姉妹の再会を眺めていた。



「とりあえず、こいつ本物みたいだから、売り飛ばしてくるわ」

 呪い師の奴が、護符やら他の品を持って外に行こうとした。

「ちょっとマテや。
 俺をこの状態で置いていくのか、マジで頼むからもう少し居てくれ」
「あなた方のことは噂では聞いていましたが、そんな物を信じていた我が身が恥ずかしい。 あなた方の行動こそ、騎士の規範となるべき行い。 どうか、私の使い手となって頂けないでしょうか!!」
「いや、今回のはたまたま二つあったから使っただけで、次もそうなるとは限らんし、今回のはたまたまお宅の妹さんの幸運のお陰だと思った方がいい。
 大体、騎士なんてのは性に合わない事この上ないもんだから、俺達なんかに使われたら名誉が傷つくぞ」
「いえ、もとより命を救われた以上命を持って仕えるのが我が宿命。
 それに、こういう出会いって運命を感じません? 白馬の王子さまっぽくて」

 勘弁してくれ。

「だから早々に出て行こうとするなよ!! 頼むから何かいってやってくれよ」

 俺が尚も出て行こうとする呪い師に縋るような目を向けると、奴はこちらを向き直りきっぱりといった。

「俺は駄目だからな。 伝説に憧れはしてたが、こんなに生々しい女だとか連れ帰ったら女房に殺される。
 護符使ったのも面倒見るって言ったのもお前だからな。
 責任持って引き受けろよ。
 良かったじゃないか、身売りだなんだじゃなくって白馬の王子様だってんだ。
 男子の本懐って奴だろ!! じゃあなっ」

 呪い師の奴は逃げた。
 俺は姉に対抗したのか、「私の方が先に私の使い手になってくださいと言いました」とか言い出した刀使いの方にも詰め寄られて、結局両方の申し出を受けることになったのだった。

感想なんぞが来たんで、名前入れてみる
by katuragi_k | 2008-08-13 04:26 | SSもどき

ブレイクエイジのパクリを目指して(D)

「はい、1,2,1,2」

 黒い機体の一団が、電子空間に描かれた大地をランニングしている。

「あのー。 先生、地味……」
「バーッと飛んじゃだめなんですか?」

 流石にランニングに飽きたのか、隆にそんな言葉が聞こえてくる。

「ハイ、注目。
 まず皆さんに覚えてほしいのは、人型の機械なんて物ががうまく飛ぶ訳がないってことです。
 ぶっちゃけると高機動ユニットっていうのは爆発で吹っ飛ばされながら移動しているようなものですから、早々コントロールが利くものではありませーん。
 では、どうすれば良いかというと?
 歩きましょう。
 とりあえず、曲がる時と止まる時、攻撃する時は地面に立つことが基本です。
 空中で攻撃目標に相対しながら回避しつつ射撃なんていう変態さんは日本に数人で十分です。
 皆さんはまず地面での移動と方向転換、そしてバランサーの挙動を覚えていただいてから、その後で泣くほど転げまわっていただきます」

 妙に嬉しそうな隆の声に、生徒一同の心中に不安が沸きあがった。

――――――――――――

「うわきゃああああああああ」

 ごろごろごろごろごろ。

「ひぃーやああああああああ」

 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ。

「とーめーてー」

 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ。

 隆のコクピットに黄色い悲鳴が響き渡っている。

「はい、落ち着いて背部ブースターのスロットルを戻してください。
 因みに急に戻すと今度は足からすっ飛ぶことに「ひーやーああああああ」」

 隆が右手で顔面を覆った。

「はい、皆さん結構痛い目にあったと思うので、簡単なセッティングの仕方を教えます。
 先ほど転げまわったのは、背部と脚部のブースターの出力のバランスが取れていなかったせいですので、機体のプロパティの中の背部ブースターと脚部のブースターを引っ張ってきて、操作レバーのスロットル1に関連付け、それにバランサーの制御をリンクしてください。
 これで、先ほどのバラバラだったスロットル操作をレバー一つで行えるようになり、機体の姿勢等での加減を自動でやってくれます」

「先に教えてくれていれば良いのに……鬼」
「しくしくしくしく、きぼちわどぅいよう」
「どうして最初からこういう風になってないのよう」

「先ほど話しましたが、日本で数人の変態さんは、わざと転げ周るように仕向けて機体を宙返りさせたり、敵の攻撃を回避したりするのです。
 そういう事ができるようになっているのが、ミッシングウォーの醍醐味であり、カテゴリ3以上の真価でもあります」

「「「はーい」」」

「それじゃあ、残りの時間は自由に動いて貰ってもかまいません。
 思う存分にやられて下さい。
 復帰の仕方は大丈夫ですね」

「「「ありがとうございましたー」」」

 そして隆以外の黒い機体は思い思いの方角へ飛んでいく。
 それらを見送りながら、「何気に三十分で基本の移動覚えるって、さすがお嬢様学校は賢いなーというべきか、俺スゲーというべきか……うーん」 隆は考え込んでしまった。

―――――

 そのころ、圭と綾は口論しながら破壊を振りまいていた。

「だから、まず機動力ありきっていうのがどうかと思うんだって」

 ジャラル・アクスの右腕部に装備されている340ミリ4連バーストライフル砲が、飛行形態のワルキューレを大破させる。

「大体、戦闘前に目立ってどうすんだよっての!!」
「い、いきなりなんだぎゃああ」

 きりもみで地面に突っ込んだワルキューレが爆発した。

「そりゃステルス性は必要だけど、隠れてじっと待ってるなんて非効率的!!」

 アーリヤ・エールの赤い機体が右腕に装備したプラズマブレードを振るい、オープンチャンネルから垂れ流しの口論に何事かと動きの止まったインフィニット・カリバーンを唐竹割にする。

「あんたら、いったい何を「広い範囲をカバーできる機動性がだいいちなのよ!!」ぎゃああ」

 陸戦機体特有のごついフレームが綺麗に二つに分かれて爆発する。

「わざわざ多対一に持ち込む方が非効率的だ!!」

 ジャラル・アクスの120ミリ重機関砲が、近くを飛んでいた黒い機体を叩き落とす。

「あ、綾さーうきゃああああ」

「そこを何とかするのがパイロットスキルというものじゃない!!」

 アーリヤ・エールの肩部ミサイルポッドから20発の近距離制圧用マイクロミサイルが黒い機体に叩き込まれた。

「ちょ、あ、あやさはーん!! ひどーい!!」

 黒い機体が爆散した。

「「あれ?」」

 何か聞き覚えのある声に圭と綾は我に返ったのだった。



覚書

 ワルキューレ:WAR・CROSS登場の飛行形態・格闘戦形態・中関形態に可変可能な戦闘マシン。
 インフィニット・カリバーン:DOLLS・BACK登場の車両形態からロボット形態へと可変する陸戦機体。
by katuragi_k | 2008-07-13 20:22 | SSもどき

ブレイクエイジのパクリをメザシ(C)

 圭は本日二回目のバトルロイヤルに出撃していた。
 機体は以前使ったことのある既存製品のカテゴリ3、ぶっちゃけるとスプリガンの原型の機体をレンタルし、いくつかプリセットの設定を作ってあるものを読み込ませて使用している。
 ちなみにスプリガンは全損状態。
 昨日のバックアップを使って復帰させることは出来るが、そうすると今日の戦闘の記録や稼いだポイントも消えてしまうので(何気にホワイト・グリンデとの相打ちは結構な稼ぎになっていたし、傭兵家業のために戦闘記録は必要)修理が終わるまでは使えないのだ。
 それでも久々に見るイカツイ機体を見ると、たまには良いかと言う気分になってくるのを圭は感じていた。

――――――――

 圭が何機かにダメージを与え、そこそこポイントを稼いでいると、プライベートの回線に隆の声が入ってきた。 圭の機体も隆の機体も、ロシナンテ程の電子戦装備が無い為に、ある程度の距離があると声が通らなくなっていたが、どうやらこの近所に居るらしい。

「おい、そっちはどうだ?」
「とりあえず生徒さん達と合流できたんで、カテゴリ3教習所やってるよ。
 邪魔すんなよ」
「判ってるよ」

 隆は綾の取り巻き連中が「綾さんと一緒に戦いたいー♪」とか仰った為に、先生役を押し付けられている。 ゲームに入るだけなら、カテゴリ2でも良かったのだが、流石のお嬢さん学校……良い端末を持ってるので、どうせならカテゴリ3に挑戦と相成ったわけだ。 カテゴリ1,2は共通の挙動だが、3になると機体ごとの差異が大きくなってくる為、一概に教えてどうなるということも無いのだが、基本を覚えて損は無い。 ちなみに、何で隆が教えているのかといえば……綾が「向いてない」と逃げ、圭が「面倒くさい」とバッサリやったからである。

「先生、この機体、黒くて悪役みたいです」
「私白いのが「赤いのが」」
「はいはい、えーと今の皆さんがその辺うろうろすると、サクサク狩られて時間の無駄です。
 この機体はレンタル機体の中では一番見つかりにくいステルス性の高い機体で挙動も軽く癖がありません。
 こいつをうまく動かせるようになれば、色々と手が出せるようになるでしょうから、今は我慢です」

「「「はーい」」」

 隆は、何で俺がと思いつつも、女の子に先生と呼ばれるのも悪くないなあとか考えていた。

――――――――

 圭は隆達と別れた後、その周辺の連中に教習を邪魔させない為、付近の機体を攻撃していた。 使っている機体に追い足が無い為に撃破数は少なかったが、戦果が結構なポイントになっている所を見ると、思った以上に攻撃が当たっている。

「俺、上手くなってるのか?」

 圭が余り自覚の無い事に首をかしげていると、再びプライベートチャンネルに声が入ってきた。

「ジャラル・アクス? えらく渋い趣味ね」

 綾の声だった。
 先程、アクセスパスを交換したのだが、どうやら彼女の機体も近くにいるのだろうと思った瞬間、パッシブにしている為に感知距離の短くなっているレーダーゲージに突然、反応が現れた。
 その方向にカメラを向けると、真っ赤な細身の機体が映っていた。

「こいつは少々古いけどバランスの取れた良い機体だよ。
 それよりそっちの機体……アーリヤ・エール? またピーキーなのを」

「そうかしら? 素直な挙動と優れたスピード・反応。
 ちゃんと使えれば、良い子よ」

 いや初期状態でも、そいつを素直とか言って振り回せるのは、ハイランカーでもそうは居ないと思いますがと圭は綾の言葉に冷や汗を流しながら顔をひくつかせた。






 


*1:「ジャラル・アクス」
 マニアックス&マイナーでは有るが、ある意味有名となった『鉄鬼』登場の機体。
 Vertical panzer  略してVPと呼ばれる戦闘ユニットで、基本的に直線的で鋭角・繊細なデザインの多いVPの中にあって、曲面を多用し、威圧的ともいえるシルエットで登場する謎の陣営の機体であるジャラル・アクスは、主役機「ディシーダー」「フレイムブロウ」、ライバル機
「エッジ」「カタナ」「シュガーフェイス」等とは一歩引くが、「無地の棺桶:バイト」、「カラーの棺桶:メガ-バイト」等の雑魚を愛するマイナー好きと並んで、コアな根強い人気を長く保っている。

 機体的には防御、耐久共に高く、さらに重量級にしては瞬発力の高さも保っている。 そしてVPの特色である実体武装の充実とあいまって、中近距離での削りあいには圧倒的なポテンシャルを発揮する。 しかし最高速度に難が有り、長距離からの攻撃には向いていない。(基本仕様でのこと。 別に長距離戦仕様のバージョンは存在する)
 ただし発売がミッシングウォーでの、2バージョンほど前の製品であるため、現在の仕様で拡張された機能を持つ新製品にはそのままではハンデを持つ事になる。 圭はかなりのアップデートというかフレームから内部機構から手を入れているためスプリガンはジャラル・アクスと比べると全くの別物である)

*2:「アーリヤ・エール」
 人気ゲーム「エイセス・コア4」の登場機体。
 まず武装と推力を削り、ジェネレーターを大きくする所からアセンブリが始まるという、ピーキーな状態で設定された初期機体である。
 操縦技術に自信を持っているプレイヤーでもパンパン制御になってしまってガックリ来るというこの機体の初期状態を、「素直ないい子」という綾はトンでもレベルの・・・。
 機体的には高いポテンシャルを持ち、バランスさえ取れば高いレベルで能力が揃う。
 発売時期もジャラル・アクスほど前ではない為と、人気ゲームゆえに新シリーズが出る度にアップデートされるので、機体能力は陳腐化していない。
by katuragi_k | 2008-06-22 21:48 | SSもどき

ブレイクエイジのパクリを目指してB

 隆が自機を落とされ、ラウンド終了までにそれほど時間が残っていないのを見ると、ラウンド途中だったが、ふうと一息ついて筐体から出ることにした。
 筐体が開き、外界の音が殺到する。
 あちらこちらの大画面で、高ランク者の戦闘やイベントにCMが流されている。
 さすがに、先程まで隆が居たフィールドの戦闘は流されていない。 不人気万歳。
 隆はヘルメットを脱ぎ、端末を筐体から外すとアミューズメントセンター内に流されている無線回線に繋ぎ、相棒の戦っているフィールドの配信を検索すると、その様子を肴にコーラで一服しはじめた。

――――――

「そろそろかな?」

 画面の中では佳境に入った殴り合いの様子が映し出されていた。

「「いい加減にぃ!!」」
「「落ちろ」なさいよっ!!」」

『ROUND END  WINNER WHITE=RABIT(PRIVATE)』

 バトルロイヤルのラウンド30分が終了した。
 さすがに8機x2回と2機落としたとか、ダブルエースどころじゃねえホワイト・グリンデがポイントでダントツだった。
 隆はホワイト・グリンデのプレイヤーがプライベートの設定になっているのを見て、一応騒がれるのは避けてるのかと関心をむける。
 隆と圭は傭兵で小金を稼いでいる関係で、あまり表立ってしまうのは拙いので(ゲームでの金銭のやり取りや賭博行為は違反行為である)依頼中はプライベート設定にしている。
 プライベートにしていると、接続センターが消え、プレイヤーネームと機体名がそのとき入力した仮名に置き換わる。 プライベート設定だと公式大会には出られないが、名前の売れた高位ランカーが一般ゲームに入る時には良く使われる。
 圭も隆もランクは割りと上位を維持しているが、戦果も地味な上に傭兵としては待ち伏せ、不意打ち、狙撃に間接射撃辺りを得意とし、無駄にステルス性能も高いのと併せて名前は売れていない。(実際姿を見られることは少なく、依頼もクライアントの口コミオンリー)
 なので普段遊ぶときは通常の名前で遊んでいるが、ホワイト・グリンデのようなワークスも真っ青な機体を通常のゲームに突っ込んで、名前が売れないという意味を考えれば当たり前な話だなと隆は自嘲した。
 今まで機体を見ただけでホワイト・グリンデと呼んでいたが、考えてみればプレイヤーの名前云々には気を回していなかった事を今更に気づいたせいだった。

「それにしても、ホワイトラビットねえ。
 どんだけ凶暴なウサギなんだか……」

 飲み終わったコーラの氷を噛み砕きながら、隆は荒れているだろう相棒を迎えに筐体へ向かった。


――――


「あの、白い悪魔がああああああ!!」

 叫び、ヘルメット(*1)を地面に叩きつけようとして、その値段を思い出し、怒りの捌け口を見失ってプルプルしながら固まった圭から、隆がヘルメット(*2)を取り上げようとした時、スコカーンとけたたましい音と共に「あんの不細工妖精がぁぁああああ!!」と叫ぶ声が少し向こうの筐体の影から聞こえた。
 びっくりして眼を見合わせる圭と隆、そして周りのギャラリーがざわつく。
 投げ捨てられたヘルメットがカコンコロンと筐体ホールの段差を転がり、人の合間を縫って圭達の足元で止まった。
 何気なく拾った隆がその軽さに驚いていると、隆の手元をじーっと見つめている圭が目に入った。
 隆は圭が何を見詰めているのかと思ってヘルメットに視線を落とす。
 そこには見慣れた自分達のヘルメットと同じロゴ、そして自分達では手が出なかった型番のさらにオーダーメイドの一品物だということが判った。
 自分達の物が、中古のそれなりのバイクが買える値段だとすると、こちらはレーサーの新品が買えるお値段。
 それが傷だらけになって転がって来たのを見て、圭の取る行動はというと……。
 隆は無言でヘルメットを脇へ一旦置いて、圭を後ろから羽交い絞めにした。

「くそ、こら、貧乏人なめんな!! 勿体無い事してるんじゃねえぞ!!」

 圭が大声で怒鳴りながら隆を引きずり、ギャラリーの向こうへ歩いていこうとするが、逆に隆に押さえ込まれる。
 なんというか、隆の見事な予測と対処だった。

「落ち着け、どうどうどう」

 からかうような隆の言葉に、圭が苦虫を噛み潰したような顔をしながらも、黙って立ち止まる。
 しかし視線はギャラリーの向こう側に注がれたまま。
 そして、ギャラリーの壁が割れた。

「「……?」」

 つかつかとギャラリーを掻き分けて二人に歩き寄る一人の女性。
 そしてその取り巻きっぽいのが四人ほど後ろに続く。
 女性陣の制服を見るに、リボンタイのアクセントが特徴的なデザインで、この近くの女子高の生徒だろう。 一番先頭の女性は年恰好から見ると三年だろうか? えらく大人びた感じがする。
 その後ろに並ぶ子達がキャラキャラとした雰囲気なのを見ると、とても同じ年とは思えない。

 それにしても大人っぽいのは良いが「少し可愛い系の制服があからさまに浮いているよなあ」等と、隆はひっそりと思ったが口には出さない。
 しかもかなりの長身で、軽くヒールが入っているだけのローファーを履いているのに、170に軽く手が届いているのは間違いなく、印象的な黒のストレートロングを、うざったげに肩から払うさまが格好よすぎるほどに決まっている。
 これでエッジの聞いた美形とくれば、さぞかし同性からももてるんだろうなと、隆は余計な心配もしてみたが、口には出さない。
 まあ、後ろの連中が彼女の一挙手一投足を見詰めながら騒いでいるのを見るに、聞かなくても間違いないんだろう。



「今の声はあなた?」

 ハスキーな声が圭を見下ろすように投げかけられた。

「はあ?」

 圭がホールの三段ほど高い場所から見下ろされて胡乱な声で見返した。

「それ、返してもらえる?」

 女性が白いヘルメットを一瞥する。
 圭が動かないのを見て、隆は脇へ置いたそれを拾い上げると、お付の女性人の一人に渡した。
 お付の一人がヘルメットを渡しながら、長身の女性に向かって顔を赤くしながら渡す。
 彼女はヘルメットを鬱陶しそうに受け取りつつも、ポツリとありがとうとつぶやく。
 そして顔を真っ赤にしてキャーと騒ぐお付陣。
 騒ぎを聞いていると、どうやら長身の女性は綾という名前らしい。

「別に私は貧乏人をどうこう思っているわけではないけど、気に障ったのなら謝るわ。
 ちょっと虫の居所が悪かったの。
 貴方にだってそういう事があるのでしょう?
 さっきの声は聞こえたわ。
 どうしても叩きのめさずに居られない相手と当たって、しかも決着がうやむやになる。
 あんな実用本位で美意識に欠ける不細工と当たって、私の美しい機体がボロボロにされるなんてことが、許されるなんて!!」

 綾が右拳を左掌に叩きつける。
 クールビューティのその美貌が怒りを露にするのを見て、後ろのお付連中がなんか2-3人昇天しかけている。
 どうやら綾さんは圭と同じく、とっても素直な感情表現の人なのだなと隆は理解した。
 そこで、じっと黙って動かずに居た圭が動いた。

「ふん美意識云々は理解しがたいけどな。
 我慢できないって想いがあるのは判る。
 どうしても理不尽としか思えないような性能してるくせに、意味不に粘着な白いのに追っかけ回されて、せっかく上がったSランクからは落っこちる。 大事な大会前に全損喰らう。 何とか対策して目立たないようにしてたら、派手好きな外人プレイヤーに、戦い方が卑怯すぎるとか消極的だとかなクレーム付けられて、更にAAA-(*3)まで一時落とされて大会規定のランク外で蹴られる。
 挙句、あの白バカの入ってきたゲームから逃げられないシチュエーションでやりあう羽目になって、全損覚悟でイイトコ迄行ったら時間切れとかな!!」

 ガンと圭の握った拳が休憩コーナーのテーブルを揺らした。
 圭と綾の視線が交差する。
 辺りがシンと一瞬、静まり返る。
 次の瞬間、二人の拳が動き、ぶつかった。

「判るわ、なんだかすごく良く判るの!!」
「なんか、妙に腑に落ちた。 さっきの言葉は取り下げる。
 許せないときってあるよな!!」

 なんだか、二人はがっちり握手していた。
 隆は後ろで、「そうだよな、心配するだけバカなんだよな」とブツブツ言っていた。

――――――

「えっ、綾さんってS+!? スゲー!!」

 隆自身はAAA、圭でやっとS に引っかかる程度。
 隆にはランクにあまりこだわりも無く、圭のサポートでこの位置なら上出来という自負があったが、それでも3ランク上の存在と言われるとスゲーとしか声が出なかった。
 圭にしても、SとAAA+を行ったり来たりしている自分より高みに居る存在だと知ると、何気に綾を見る目が変わり、綾の方が一つ年上だというのも有り、呼び方も自然とさん付けになっていた。 

「綾さん、教えてくんないか。
 強さとデザインやら美しさってのが両立しないとは思わない。
 俺は機能を突き詰めた機能美って奴は在ると思うから。
 でもさ、戦術的優位に寄与しない装飾やら遊びに、一体何の意味が在るんだろうって思う。
 あの白いのが強くてムカつくのは間違いないけど、そういう遊びの部分を残してるくせに強いってのが一番腹が立つんだ。
 俺のカッコ悪くても負けない為の機体って間違ってるのか?」

 圭の目はじっと答えを待っている。

「……私はさ、両親が忙しくてさ、それにお嬢なせいもあって、友達って少なかったの。
 それが誕生日に貰ったゲーム機で変わった。
 ネットじゃ、相手のことは良く判らない。
 それでも……だからこそ、本音で動けた。
 いつの間にか、知り合いも増えて、友達って言える人も出来た。
 世間って狭くてね、その友人が同じ中学でさ……。
 だからね、私の機体はあのゲームのあの機体。
 あの白い機体が傷ついたり汚れるのは嫌だから、必死で強くなった。
 これは私だけのこだわり……だから、君の拘りは間違いじゃないと思う。
 答えになったかな?」

 じっと見つめてくる圭に、真剣な視線を返しつつ答える綾。
 そんな二人の周りには、圭を憎憎しげにハンカチ噛み締めながら見つめる綾の取り巻きと、なんとなく嫌なことを思いついたのか、そわそわしだした隆が居た。

(白くてあのゲームのあの機体っていえるほど有名なのって……まさかまさかまさか?)

 隆はこのまま何事も無ければ良いなぁと思いつつ、自分の運の悪さを思い返して溜息をついた。




*1:(マイクとヘッドセット機能だけの簡易なレンタル品から実用に耐えるヘルメットに携帯並みの通話端末能力、HUDとして使用可能なサブ画、スマートリンク用のセンサーやアイカメラを仕込んだ㌧でもオーダー品までを一括りにしたもの。 総じてお高い)

*2:(因みに二人のものは揃いのオーダー品で、結構なトンでも品の内に入る。 だいたい夏休み潰してバイトしてもちょっと無理かな?位の値段)


*3:(ランクはFから始まってSSSまで。 SSSが10人、SS+が約30人、SSが約50人 ここまでが俗にハイランカーと呼ばれ、ポイントで上から人数制限で蹴られる為にある意味名誉階級。 その下のS+、S、AAA+、AAAまでが一般にランカーと呼ばれ、ポイント依存で人数制限は無い。 大き目の大会はこのランクが必要条件となる。 マイナスが付くのは他プレイヤーからのクレームやハラスメントでの一時ペナルティー。 S、S+はS-に、AAA+とAAAはAAA-となる)
by katuragi_k | 2008-06-15 20:18 | SSもどき

ブレイクエイジパクリ導入部でっち上げ(リハビリ)

 CGの映像とは思えないほどの臨場感で再現された、霧けぶるジャングル。
 年季の入ったアニメファンならジャブローとでも呼びたくなる南米大アマゾンを髣髴とさせるシチュエーション。
 ジャングルを分断する大河と入り組んだ支流。
 その中の一つを、人型の機体が腰まで水につかりながら、木々を揺らしつつ進んでいる。
 流石にモビルスーツではない。
 イカツイ鉄の塊とフレームを数珠繋ぎにして、無理矢理に人型をくみ上げたような、不恰好なものだが、その存在感は兵器というモノには似つかわしいと圭は思っている。
 機体の名は『スプリガン』……宝の番人という謂れを持つ妖精の名前だ。
 そしてスプリガンの横を、スカート部すらも装甲で覆い、大口径の砲門と高度なセンサー群を備えた、ホバー戦車が随伴している。

「なあ、圭。
 もうそろそろ、なんか見えないとおかしくねぇ?」

 ホバー戦車『ロシナンテ』のユニットプレイヤー『ドンキホーテ』こと『大橋 隆』が有線通信で、圭にメッセージを送ってきた。

「もう少し進めば……ってもう戦闘の予測されたエリアか。
 いくらなんでも静か過ぎるな。
 まあ、あの連中が大人しく俺らを待ってるとも思えないから、何かあったんだろうけど。
 相手も同程度の連中だし、まさか全滅なんてことは……。
 いや、まてよ……なあ、なんか嫌な予感がしてきたぞ」

 圭がこういう予感は良く当たるもんなんだよなと思いつつ隆へ愚痴る。

「同感……そして、流石のナイスインスピレーションといってやるよ。
 三時の方向、距離1200にてクライアント様の成れの果て発見」

 スプリガンが感知能力に勝るロシナンテからのデーターを受け取る。
 押してその画像を見て圭の一言。

「うわ、一・撃・必・殺」

「だな」

 その映像には、アニメじみたトリコロールカラーの人型機体を、癇癪を起こした子供が胴体で引きちぎって投げ捨てたような光景が映し出されていた。
 恐らく大出力の攻撃で撃ち抜かれたに違いない。

「あの機体って、カテゴリ1でも金掛かってるだけ有って、それなりの性能だったはずだぜ。
 少なくとも俺のロシナンテでも、お前のスプリガンでも、あんなぶっ壊し方は無理だろ」

 隆の呆れたような声が問いかけてくる。

「まあ、無理かな。
 撃破するにもかなりボコボコにしないと……あんな風に一発でぶっちぎるのは絶対に無理。
 まして、喧嘩相手の連中もカテゴリ1。
 その豆鉄砲であんな風になるわきゃ無いよな」

 南無・アーメンと特段信じてもいない祈りをささげつつ、圭は今回の仕事を請けるときの打ち合わせで散々聞かされた、あの機体のスペックを頭に浮かべ、その機体を1ショットキル出来る相手の能力を想定しようとして、「はいはいカテゴリ4カテゴリ4、ワークスワークス」みたいな答えしか出なかったので考えるのをやめた。
 圭がそんなことをつらつら考えていう間、 隆は「まさか、クライアント様みたいな身内の喧嘩に、金で傭兵雇って勝とうとかするような、陰険メガネが他にも居るってのー、サイテエー」等と呟いていたが、気づいた圭が「いや、それ雇われてる俺らが言うことじゃないから」と突っ込んだ。

 圭と隆から同時に溜息が漏れた。

―――――――――

 10年前、全国のアミューズメントパークをネットワークで繋ぎ、カスタマイズ可能な機体をもって戦闘を行うゲームが発表された。
 最初こそ、戦車や四足のロボットもどきが精々だったが、繰り返されるアップデートによって、現在では四つのカテゴリに分かれたユニットが、あらゆる戦場でしのぎを削るまでになっている。
 デザインの幅が広く、端末の能力もそれほど要らず、挙動やコントロールが共通な為に扱いやすいが、反面パラメーターが機体全体でしか扱えず、また機体のどこに被弾しようと、全体のHPが削られ、そのつど能力が比例して落ちるカテゴリ1。
 ユニットの各部ごとにパラメーターを持ち、部位破壊を採用されたことにより、サバイバビリティが増大したが、若干扱いにくくなっているカテゴリ2。
 ユニットを収めるフレームを3Dモデルとして成立するようにデザインし、その内部にユニットを詰めていく為、デザイン性や挙動に制限が大きく発生するが、装甲の概念が導入され、シールド等での防御が可能になり、またカテゴリ1,2よりもはるかに情報の処理がプレイヤーの端末に依存する為、端末性能を要求されるものの、扱える情報量も多くなるカテゴリ3。
 そして、カテゴリ3を超え、フレームにとどまらず、駆動機構にまでデザインを施し、最高レベルのワークスでは、要求を満たす材質の材料があれば、機体の作成が可能とまで言われるほどの情報量を詰め込むカテゴリ4。

 以上のような4つのカテゴリのデーターを共通フォーマットとし、各社が様々な形態の戦闘形式や戦場を用意しているのが現在の『ミッシング・ウォー』と呼ばれる一大アミューズメントシステムである。

―――――――


「圭!! 」

 これからどうするべきか考え込んでいた圭を、隆の声が思考の中から呼び起こした。

「何だよ、脅かすなよ」

「いいから、頭下げろって。
 そんでこいつがさっきの残骸の更に向こうのデーターね。
 パッシブの限界ぎりぎりで振動を感知したんで、うっかり光学センサ向けたらたまたま映った」

 呆れつつも緊迫感のある声という、珍しい隆の声を聞きながら、圭が送られてきた画像を見る。
 そこには粗い粒子ながら均整の取れた人型が見える。
 パッと見はカテゴリ1のデザインかと思えるようなものだが……構える長大な火器と、おもちゃじみた軽いカテゴリ1の動きとはまるで違う、現実味のあるその動きが圭に最悪の答えを示した。

「げえっ、ホワイト・グリンデ」

 圭の頭の中にジャーンジャーンと銅鑼の音が鳴り響いていた。
 ホワイト・グリンデ……白のグリンデと呼ばれる、人気ゲームACE’S・COREに登場する主人公格の搭乗機体である。
 真っ白な機体色とその優美なデザインで非常に人気が高く、ミッシングウォーの各関連メーカーもそのデザイン機体を出してはいるが、あくまでもカテゴリ1の着ぐるみデザインか、ユニット2までの話だった。
 それが此処最近、ワークスも真っ青なカテゴリ4の機体で、そのデザインを再現した物が現れたと噂になっていた。
 すわ、カテゴリ4でホワイト・グリンデ発売かと祭りになったりしたものだが、どのメーカーもそのような事実は無く、一品物だとしても商品になりうる値段ではないとのコメントが流され、釣りだったのかと祭りは沈静した。
 だが、実際にはホワイト・グリンデの乱入を受けた、カテゴリ3クラスのカスタム機やフルメイドのユニットを操る古参ユニットプレイヤーも居り、そのぶっ飛んだ性能とその機体を操るプレイヤーの事は、実在するが恐らくメーカーの仕掛けたイベント機体ではないかと言うのが一般的な見方である。
 だが、圭の見方は違う。
 圭もホワイトグリンデには何度か遭遇し、数度の全損を含めてろくな目にあっては居ない。
 しかし、圭は一度、ホワイト・グリンデにクリーンヒットを与えたことがある。
 回りの機体の残骸に埋まりながら、瀕死で機能停止状態寸前の機体を宥めすかして待ち、ホワイト・グリンデが隙を見せた瞬間、一撃を喰らわせたのだった。
 その時、圭はオープンチャンネルで「ざまあごらん遊ばせーはっはっは」と叫んだのだが、その次の瞬間、頭を吹っ飛ばされたホワイト・グリンデが銃口をスプリガンに向けながら、「良くもやってくれたわ」という、背筋の凍るような冷たい怒りの声をプライベートチャンネルから流し込んでくるのを聞いた。
 そしてゲームオーバー。
 あれは間違いなく人間、それもメーカーの人間とかじゃなくて機体への行き過ぎた愛着を持つタイプのマニアだと圭は確信している。
 そして、そんなのに出会ってしまったら、ただでは済まない。
 それはそれ以降の数度の出会いが物語っている。
 ふらっと立ち寄った戦場にスプリガンが居ると、ひたすらスプリガンを狙ってくるのだった。
 しかも全損狙いで手足潰して頭潰してからコアを潰そうとしてくる粘着さ加減。
 お陰で、圭の回避操作と耐久力に関してのカスタマイズ技術は急上昇し、今では全国でも知る人ぞ知る(それでもランキング上がってはホワイトグリンデに全損で叩き落される為、目立たない二流の位置に居るものの、生き汚さは全国レベルという、ある意味トップランカーにも一目置かれる)存在となっている。

 話を戻そう。
 圭にとって、そして圭と常につるんでいる隆にとってもホワイト・グリンデは鬼門どころの話ではない。
 関わった所で得るものは無いのだ。
 つまり、ブッチしてゲームから出てしまいたい所だが……。

「なあ、どうする?」

 なんだか悟ったような声音で隆が圭へ判断を促した。

「ゴーホームしたい……」
「素直な気持ちありがとう、とっても心に響くけどな。
 一応、傭兵の仁義ってもんがあるよな……」
「……」
「例えばだ、あの連中がホワイト・グリンデをデザインオンリーの身内のカテゴリ1だとでも思って手を出したとしよう」
「いや、いくらなんでも、カテゴリ1と4は見たらわかるんじゃ?」
「いや、連中の目は節穴に近いぞ」
「ああ、それはなんだかよく判ってしまう」
「それで、あの姫様のお怒りに触れて殲滅されたとしてだ」
「ああ、言いたいことは良く判る……付き合って死ねと?」
「そんなとこだ」
「一緒に全損食らえば、一応は言い訳も立とうってもんだろ。
 俺も付き合うしよ」
「仕方ないなぁ……」

 圭と隆が言葉を交わしている間にクライアントの皆さん、圭たちと同じ学園に通うモデリングデザイン研究部の連中が、今日戦う予定だった近所の学園のゲーム研究会と一緒にリスポーンしてきた。 元々、このフィールドはバトルロイヤルのステージな為、リスポーンは特に禁止されていない。 ただ、今回は予約入れたりが面倒だった為に、人気の無いこのエリアでルールを決めてチーム戦(簡単に言えばリスポーン自主規制でサバゲーORフラッグ戦)をやるつもりだったのだ。
 因みに、一緒にリスポーン(復帰)ということは、一緒に殲滅されて敵が出来たことで仲直りでもしたのだろうか?

「こうなれば仕方ないか……お付き合いしましょう」
「ですな」

 圭と隆は覚悟を決めた。


――――


 白い機体が右の手に掴ませていた砲身を振り上げた。
 砲身は腰から伸びるアームに支持されており、その機体の身長ほどもある長さを感じさせずに機敏かつ繊細な動きで犠牲者第一号をターゲットし、火を噴いた。

 ドン キュドッ ズバン 三つの音が一瞬に重なり、モデ研ゲー研連合軍8機の内、一番右端に居た機体が、見えないトンカチで吹っ飛ばされたようにバラバラに千切れとんだ。

「おいおい、火砲とレールガンのコンポジットって、しかも腰支持のスマートガンかよ。
 普通にライフルとか持ってるだけで泣けたのになあ」

 隆が取れたデータを圭に送りつつ、そのトンデモ兵装に半笑いになっている。
 そして嘆いている間に、二機目三機目が消し飛んだ。

「武装が減ってる分、あれ潰せば何とかなったりしないかな?」
「なれば良いなぁ」

 あえて囲まれながら、引き撃ちで一機づつ片付けているホワイトグリンデが、丁度圭たちの方へ移動してきている。
 今までの経験から、ホワイト・グリンデのセンサー範囲は広めではあるがロシナンテに勝るということは無い事は判っている。
 そこで、圭はスプリガンの兵装中最大の直射射程を持つ270㎜滑腔砲を使い、ロシナンテとのリンクから取ったデーターを元にして狙撃する事にした。
 狙いは腰から伸びるアームと砲身との接合部。

「さて、狙撃なんてコスイ手……失敗して見つかったらコア抉り出されて握りつぶされたりしそうだ。
 それでも、見事に当たってアンニャロの呆然としたとこを見られるとしたら……なんかドキワクするなあ」
「ほらほらバカやってないでちゃんとやれよー。
 ほら、また2機死んだ。
 残り3機だぜ」

 圧倒的過ぎる力の差だった。
 カテゴリ1とはいえ、8対1で囲んでいた所から、危なげも無く一機一発で仕留めていくとかホワイト・グリンデ何物ぞといった所だ。

「さて、どうせ一発勝負ならやる事やっとこうか」

 圭はスプリガンの管制プログラムを呼び出すと、手動でポーズの設定を始めた。
 左足を敵方向へ伸ばしたまま泥に埋めロック。
 右足は90度展開してひざを突いてこちらも泥に埋める。
 これで下半身が台座と化した。
 ついで、腰の駆動をマニュアルの照準と連動させる。
 ダンパー以外を半固定。
 滑腔砲にはAPFSDSを装填。
 弾速からすると通常のAPの方が距離の融通は利くが、今回は引き付けての一発勝負。
 1000距離以内ならこちらの方が貫通する率が高い。
 そして、常なら半自動照準でフルオートの射撃を行う所をフルマニュアルのセミオートに切り替える。
 ぶっちゃけると今のスプリガンはでかい対空砲ないしは対戦車砲でしかない。
 先に見つけられれば回避どころか急接近されるだけで攻撃ができなくなる。
 あくまでも、長距離での先制だけを考えているのだ。

 それらの設定を圭が終える頃、隆の方もロシナンテとスプリガンとのリンクの作業を終えていた。
 たったケーブル一本の接続だが、二機はひとつの兵器となったのだ。

 そしてその時、丁度最後の一機がマシンガンを無闇と撃ちながらホワイトグリンデに突撃する所だった。

 軽くステップで火線をかわされて、ついと上げられた銃口が火を噴くと八機殲滅完了。
 詰まらない物を撃ってしまったとでも言いたげな風情で白い機体が立ちすくんでいる。
 その機体へ向かって、まずロシナンテがスプリガンの滑腔砲と射線情報をあわせた砲塔で射撃を行う。

 砲口からマズルフラッシュ。
 着弾寸前、ホワイトグリンデが反応した。
 流石にどれだけ準備しても、撃ってみないとわからない情報は多い。
 射撃は外れたものの、その射撃から得た情報をフィードバックしてロシナンテがスプリガンへ送りつける。

「決めろよ」
「おうさ」

「今のはどこから?」

 ホワイトグリンデがセンサーをパッシブモードからアクティブに切り替えた。
 スプリガンとロシナンテにレーダー波が叩きつけられる。
 そしてまったくダメージを受けていない電磁波吸収剤がそれを反射させない。
 二機ともに、ホワイト・グリンデのお陰で水準以上のカウンターセンサーの機能を持っている。
 簡単には見つからない。

「レッツJAM」

 圭の右手がトリガでリズムを刻む。
 タン、タタン、タン、タン、タタン。
 機体が静かに吼える。
 光学のレティクルを見ながら、ダンパーの利きと相談しつつ照準を左手で滑らせる。
 ホワイト・グリンデをリードするように優しく繊細に。
 レティクルの中のホワイト・グリンデに火花が散る。

「おお、すげー!!
 完全に嵌った!!」

 ロシナンテのセンサー情報を見て隆が狂喜している。
 スプリガンの滑腔砲からバースト射撃で吐き出されるAPFSDSが、ホワイト・グリンデの装甲に弾かれたり砕かれたりしつつも、幾つかが抜いているのを確認したのだ。
 曳光弾とか入れてない辺り、博打打ちなのかチキンなのか判りにくいが、そのお陰で未だホワイト・グリンデはこちらを特定できないで居る。
 いや、場所はほぼわかっているのだろうが、今の半シェイク状態では対応できないのだろう。
 このままスマート・リニアガンを潰せれば勝ち目が見えてくる。

 しかし、幸運の女神様はなかなかに厳しい方らしかった。

「いい加減に……しなさい!!」

 ホワイト・グリンデがあちこち駆動に問題が出ているのをねじ伏せて、こちらにリニアガンを向け、応射してきた。
 それが事もあろうに、ロシナンテを貫いた。

「にゃにい!!」

 素っ頓狂な声を最後に隆の声が途絶えた。

「だから感覚で動く天才とか嫌いなんだよ!!」

 補助を無くして照準がぶれるのを宥めすかしながら圭が止めを入れんと、ライフルカノンを連射する。

「そこっ!!」

 ホワイト・グリンデのプレイヤーの声がいつの間にかオープンで流れていた。
 そのどこの新人類?みたいな台詞を吐きながら、スプリガンに一撃を食らわせる。
 スプリガンの右腕、シールドであり、カウンターウェイトである鉄の塊が引きちぎられた。
 しかし、スプリガンは倒れない。
 もう撃てるものは120ミリ重機も370ミリ榴弾砲も見境無く撃ち放つ。
 その火線にさすがのホワイト・グリンデも少なからずダメージを受けていた。
 特に、上半身の装甲の砕かれた部分にラッキーヒットした榴弾が、内部機構を引き裂いた。
 そして内部破壊が、左腕と背面のスラスターを諸共に爆散させた。
 しかし、それでもホワイトグリンデは落ちなかった。
 未だ無事な右手のリニアガンをなおも撃つ。

「「いい加減にぃ!!」」
「「落ちろ」なさいよっ!!」」

 二人が叫び、ゲームが終わった。


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 拍手でのご指摘どもです。

 勘で動く天才なんか > 感で動く天才 に間違ってましたが、

 超感覚とかなら いいのかな という文面見て、 天才は勘より感覚のほうがしっくりくるかとおもいまして、感覚という言い方に変えました。

 滑空砲修正 口径も鉄騎にみあわせて少し修正。

 スプリガンの武装ですが、基本 315ミリ(近中距離用ライフル砲/対装甲炸薬弾頭) OR 270ミリ(中距離用滑腔砲/ピアッシング用対装甲特殊弾頭)が主武装。 370ミリ多目的ランチャー(榴弾撃ったり地雷撒いたりミサイル撃ったりと準備次第でいろいろ) 及び 120ミリ重機関砲(ほぼ固定武装)は空きリソース次第。 チャフ、フレア、スモークなんかは基本的につんでいる。 
by katuragi_k | 2008-05-07 22:11 | SSもどき

2B


「……」

「……が」

「闇夜に白いのがー!!」

 ガッ

「ぐふっ、腹になんか……喰らって?
 ここは?

 !?????」

――な、何か居ますよ……なにか、とんでもないのが……それも複数。
   ここは祖父の家、それは間違いないですが、この気配。
   先のルーミアとは一桁か二桁違う……体が死んだ気になってて動かないとは。
   白丸黒丸も完全に固まってしまって、こんな気配に覚えは……12年前のアレしか思いつきませんが、まさか。

「あら、お目覚めのようね。
 お久し振りだわね、ぼうや」

――やはり。

「……ボウヤはよして下さい。
 あなたは変わりませんね、八雲 紫さん」

「あら、意外と落ち着いているわね」

「いえ、プレッシャーで体が言う事を利きません。
 これは諦観という奴ですね。
 それに、もう一つ……貴女レベルの存在が」

「ああ、私も驚いたけど。
 今の所、貴方を取って喰うつもりはないようだから、安心なさいな。
 それとそろそろ起きなさい」

 ひたりと冷えた掌が頬に添えられた。
 ふと気づく、目の前に真逆に微笑む懐かしくも恐ろしい微笑みが見えるという事は……あれ、天井ですね。後ろに見えるの。

 ひざまくら?

「す、すす、すいません!!」

 驚きに金縛りも解け、慌てて起き上がった。
 すると、その傍らに、見覚えのある顔がもう一つ。
 しかし、その気配は先程とはありえないほどに違う。
 
「ルーミア?」

 一応身構えるが、黒丸白丸が沈黙中の今、私に身を守る術は殆どない。
 一体何が原因で、こんな強大な存在感を、もしこれが本気だというなら、さっきの天井から落っこちたアレは……白だったな。

「おい、何を考えている。
 全く、私も焼きが回ってしまった……こんな人の子に不覚を取るとは」

 睨まれただけで、周囲の温度が下がったようだ。
 背筋に冷たいものが走り、身が固まる。

「二度もね……偶然もあったけれども」

 紫さんがクスクスと笑いながら余計な補足をしてくれた。
 ギシリと音を立てて、さらに室内の温度が下がった気がする。

「とはいえ、弾幕ごっこにあらず、こちらで人を喰う者として人に退治された。
 ならばその者には褒賞が与えられる」

――なんですか、それは? 昔話でもあるまいに。

「ルールなのよ。
 幻想郷ですら忘れ去られたルール。
 鬼や悪魔を退治した者には、富や名誉、権力や宝が与えられ、
 末永く幸せに暮らしましたとさ。 で締められる昔話。
 そういう事よ。
 ルーミアは、幻想郷に入るとき、新しいルールを課せられたの。
 力と存在を封じ、ただの人喰いとして在るという事。
 対価も代償もなく、そういう者として在る事を選んだのよ」

「ただの人喰い?
 そこはスルーなんですね」

「妖怪は人を襲うもの。
 人は妖怪を退治するもの。
 人喰いも存在できるからこそ、幻想郷なのよ」

「貴女は……人を襲いますか?」

「ないしょ。
 女には謎が付き物よ。
 話を戻すけど、それは幻想郷でのルール。
 こちらでは適用されない。
 だから、元のルールが適用される。
 さあ、貴方の望みをお言いなさい。
 とはいっても、今の彼女の状態ではね。
 退治か、力か、後はお嫁さんくらいでしょうね」

「お嫁さん……白い」

「いちいち思い出すなぁ!!」

 ぐはぁ

「なら、力を。
 恐ろしいモノを恐ろしいと認めて、そして立ち向かえるように」

「良かろう。
 お前が暗闇の畏れを知る限り、
 お前が夜闇の穏やかさに感謝する限り、
 闇はお前と共に在る」

 言葉と共に、何かがずるりと入り込んできて、何かが書き換えられたような気がした。
 そして、ルーミアはくたりと倒れこんで、そのまま眠りについてしまった。

「あの、何か変わったんでしょうか?」

「そうね、護法を呼んで御覧なさい」

「白丸、黒丸って、なんだ!?」

「あらあら、これはまた」

 二人してあんぐりするほど、蛇たちはでかくなっていた。
 12年前、50cm程だったのが、最近では2m程に。
 そして、今では……それこそ部屋の中にゴロンと丸太が転がっているような風情になっている。

「アナコンダ?」

 私が呆れていると、紫さんはどこかしらから筆を取り出し、小さな和紙にすらすらと何事かを記す。
 その数二枚。

「命名、黒丸改め黒陽、白丸改め影月」

 ブラック・サ○に、シャ○ー・ムーンですか?

「それなんていう仮面ライダー」

「気に入らない?」

「いや、格好良いですが……」

「名前は大事よ。
 名は体を現すというでしょう。
 本蛇たちも気に入ってるみたいだし」

 ウネウネと身を躍らせる二匹の蛇、あれって喜んでるんですか?

「とにかくこれでルーミアの用事は終り。 次は私の用件」

 思わず居住まいを正した。
by katuragi_k | 2008-04-12 11:12 | SSもどき