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2004年 12月 22日 ( 1 )

FAKE_TAKE2(12)

2月1日

 まだ冷たい空気の中、緊張感が弓道場の中に漂っている。時折乱れるが皆も慣れたもので、すぐに己を立て直していく。この辺り、この学園が強豪と言われるようになった要因である。とはいえ、その原因たる存在はそれを意識しているのか疑問だが。

「お弁当~♪ お弁当~♪ 今日のお弁当は何~かな~♪」

一斉に溜息がこぼれた。

 さて、そんな道場に朝練時間に遅れたのかバタバタと走る足音が更衣室から響いてきた。すいませんすいませんと頭を下げながら、いそいそと準備を始める。それを見つつもノホホンとお茶をしている藤村大河(2?)才。過去、冬木の虎と呼ばれ親しまれた女性も、今の姿は縁側の猫。鷹揚に手をプラプラ振りつつ茶をかっくらている。その陽気さとカパカパと空ける茶のペースに、アレは本当に茶なのかと部員一同の不審を集めている。だが、本人にはその視線など何処吹く風。

「藤村先生すいません。 遅れました」

「おはよー桜ちゃん。 お兄さんは?」

「あの、表で主将と言い合いしてます」

「またやってるのー。 あの二人も懲りないわね。
 でも二人が喧々諤々やってるお陰でその分私は楽なんだけどねー」

 自覚があるのか!?と驚きの視線が虎に集まる。桜は何事かと身構えるが虎は動じない。
 その内、弓道場の外から口論の声が聞こえてきた。神経質そうな男の声と、何となく男らしい女の声、そして両者を諌める男の声。桜は表情を翳らせるが、他の者はまたかといった調子で受け入れている。この辺りのタフさも強豪と呼ばれる所以か……流石はメンタル大事の弓道である。

「だから何度も言ってるだろ。
 僕も桜も家の用事で来れなくなるって!!
 だから練習も出来ないのに代表にされるのは困るんだよ!!」

「でもさ、あんたら抜いたら寂しいもんだよ」

「他の皆だってちゃんと練習してるだろ。
 そいつ等に任せれば良いだろ!!」

「二人とも落ち着けよ。
 慎二も家の用事で忙しいのは判るけどな。
 協力してやっても良いんじゃないか?」

「そういうお前だってバイトで忙しいからとか言ってるじゃないかよ。
 大体、一番射の立つ奴はお前なんだからな」

「うっ」

「それもそうだ。 衛宮が出てくれるなら問題無いけど?」

「うっ」

「そうだよー。 士郎もバイトばっかりじゃなくて私と遊んでくれないと。
 お姉ちゃん寂しくて冷蔵庫荒らしちゃうんだからねー」

「藤ねぇが冷蔵庫荒らすのは理由なんか無いだろ。
 それより食費を入れてくれればバイトも減る。
 いい年して未だに小遣い貰ってるの知ってるんだからな。
 一体何に使ってるんだ」

――ざわ……ざわざわ

 弓道場が揺れた。流石の部員たちも驚愕の事実に声が無かった。時が止まり、口論していた二人も空いた口が閉まらないを実践している。

「マジか?」
「判らなくも無いわ」
「まさか年玉なんかは」
「流石はタイガー」
「私をタイガーって呼ぶなー」
「もしかして先生はサンタ信じてたりしないか?」
「ありそう」
「それくらい知ってるってば、留学した時のクリスマスで泣いたんだからねー(サンタ来なくて)」
「雷画爺さん甘いからなぁ」
「いったい何歳まで信じてたんだろう」

 皆々が騒ぐ中、パンパンと手が鳴る。

「ほらほら、騒がない。 練習続ける」

 その声に我を取り戻したのか、道場中からハーイと返事。各々が自分のやる事に再び集中し始めた。

「相変わらずの破壊力ね……」

 くっくっくと猫のように目を細めて笑いを堪え切れていないのが美綴綾子。弓道部の主将。人呼んで……いや言うまい。

「気が殺げた。 話は終るけど、僕も桜も出ないからな」

「だから、その理由を言いなって言ってる」

 端正な顔を気難しげに歪めて綾子と言い争っているのが間桐慎二。桜の兄で弓道部の副主将。

「慎二も美綴も、いい加減にしろって」

 仲裁しているのが衛宮士郎。一応は平の部員ではあるが、部顧問の保護者だと言う事と部内で一番射が立つという事で一目置かれている。
 その三人が三竦みに固まっていると、きゅーころころころと間抜けた音が聞こえた。

「「「はぁ」」」

 溜息三様。虎に向き合う。

「もしかしてわざとやってるんだったら尊敬するわね」
「何といっていいんだろうね」
「出掛けに四つ切のトースト三枚分食ったのに、なんて燃費の悪い虎なんだ」
「わ、私を虎と呼ぶなー」
「あ、先生……。 オニギリ有りますけど」
「味方は桜ちゃんだけなのー」

 結局、朝錬はバタバタしたまま終ってしまった。


――――――――――――――

大雑把に書いてあった流れを少しづつ細かく決めながら、それにあわせてキャラ改変。
出来るだけ、性格変えずに環境変えてそれっぽくなればと思うのですが、やってみると別人28号になるのは私のオプション画面のデフォルト設定かもしれません。
当面、一哉くんは置いて、設定固めがてらパラパラと原作側の人を並べて見たいと……。
でも、イキナリ慎二に違和感アリアリかもしれませんがご容赦。
この先どんどん違和感に襲われると思うのでご注意。
藤村せんせはネタッぽくなってしまいます。大人な部分を書いてみたくもあるのですが、多分出てこない。
by katuragi_k | 2004-12-22 18:32 | SSもどき