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FAKE_TAKE2(11)

2月2日

北向きの部屋の癖に、なんだかうらうらとした朝。
寝直してからどれくらい寝ることが出来たのかわからん。
あーだるだる。

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つんつん

ムニャムニャ ごろん

つんつん

ムニャムニャ ごろん

ゼノビアがつつくと、逃げるように一哉が転がる。
一哉はまるで起きてるかのように、的確に狭いソファーの幅だけで逃げ回っている。
ゼノビアは面白そうに数回転がしていたが、十分経っても起きない一哉を少々呆れ気味の目で見やる。
その視線の先はダルダルと惰眠をむさぼる情けない姿。

「かずやさん……どうやっても起きないつもりですね」

チラリと声に怒りの色が混じった。
ピクリと一哉の体に緊張が走る。
しかし、再びムニャムニャと眠りの中に沈んでいった。
あまりな姿にゼノビアの表情がピクリ。
微笑みのまま、眉の角度だけが十時十分に変化した。
その気配に起こされたのか、タオルの下から黒い塊がのそりと顔を出した。
その黒い塊はじっとゼノビアの目を見る。そしてその視線を追って寝こける主の姿にたどり着く。
それだけでパルミラは何となく状況を理解した。

「んー? どちらさまですか?」

首をかしげ、しばし考えたゼノビアの反応。
普通ならでかい猫がゴソリと出てきて喋ればパニック物だが、この猫には妙なユーモアというか諧謔を感じさせる雰囲気があった。
そのせいも有ってゼノビアはパルミラに興味を持ったらしい。
しげしげとその毛並みに関心している。
パルミラもゼノビアがパニクリもせず自分の事を興味深く受け止めた事に興味を持った。
感心の表情を浮かべ(猫の表情が判別つくかは疑問だが)ペコリと頭を下げる。
そして、ほやほやとした陽だまりのようなこの女性にニヤリと笑いで返したのだった。
ずいぶんややこしい笑いではあったが。

「お初にお目にかかる。
 私はパルミラと名を頂戴したプリチーな子猫さんであるよ」

「ご丁寧にどうもです。
 私はゼノビアといいます。 よろしくお願いしますね」

「うむ、よろしく頼む。 先輩どの」

「はー、先輩ですか?」

「私は力関係はそれとなく的確に計れるのだ。
 あなたにはちゃんとして置いた方が良いと感覚が言っている。
 主はそれなりにいじり倒してもOKだとも言っているが」

「賢いですねー」

握手握手。

「ところで、このネボスケを起こすのではなかったのかな?」

「そうですね。 起こさないと。
 学校が無いからといって、ダラケタ生活をしていると長生きできません」

「お手並み拝見」

「任されましたー」

二組の目がにやーっと細められたのだった。

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ん?
誰かの息遣いが近い。

「かずやさん。 起きてください」

ゼノビアさんの声。

「んー、もうちょい」

「駄目です、起きてください」

むう、ガッコも何も無いのだぞ。
昨日は忙しかったから今日は寝かせてください。

「起きない気ですね」

ゼノビアさんは頑固だ。 
そろそろ起きた方が良いと本能も言っている。 
しかし、俺にも意地がある。 
あと二十分絶対に寝てやる。

「判りました。 こちらにも覚悟がありますよ」

何をする気だろう。

「昨日の唇切れた所、何とかくっついてますね……」

まさかっ!!

「傷口、もう一回開きますよ。 それで朝からエスニックに……」

「おはよう、良い朝だねゼノビアさん」

何か、呆れ半分感心半分の視線が……。

「流石だ、主よ」

やかましい。
by katuragi_k | 2004-12-18 21:41 | SSもどき
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